2020 Fiscal Year Annual Research Report
Solid NMR study of vapochromism in metal complexes
Publicly Offered Research
Project Area | Soft Crystals: Science and Photofunctions of Easy-Responsive Systems with Felxibility and Higher-Ordering |
Project/Area Number |
20H04666
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
水野 元博 金沢大学, ナノマテリアル研究所, 教授 (70251915)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ベイポクロミズム / 白金錯体 / 固体NMR / 分子運動 / 局所構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では固体NMR法を用い、ベイポクロミック金属錯体について、蒸気吸着に伴う局所構造の変化、吸着分子の運動状態、金属の電子状態を解析する。分子運動や非晶質状態の局所構造の解析を得意とする固体NMR法にX線構造解析や理論計算を加え、ベイポクロミズムのメカニズムの解明を行うとともに物質設計に役立つ情報を提供する。 ベイポクロミズムが報告されている平面四配位白金(II)錯体 [Pt(CN)2(H2dcbpy)] (H2dcbpy = 4,4’-dicarboxy-2,2’-bipyridine)と[Pt(CN)2(H2dcphen)] (H2dcphen = 4,7-dicarboxy-1,10-phenanthroline)についてエタノール-d6,2-プロパノール-d8をゲスト分子として導入し,固体重水素NMR法を用いて運動状態を解析した。それぞれの試料について,分子内運動(メチル基の3回軸周りの回転)と分子全体の運動(等方回転運動)の情報を得ることができた。2-プロパノールにおいては,細孔径が大きい[Pt(CN)2(H2dcbpy)]でより速い等方回転運動が生じていることが分かった。これに対し,エタノールは[Pt(CN)2(H2dcbpy)]中で,細孔径が小さい[Pt(CN)2(H2dcphen)]中よりも運動が抑えられていることが分かった。 ベイポクロミズムを示す平面四配位白金(II)錯体の多くは、水素結合のような分子間相互作用によって吸着した分子が安定化されている。より強く吸着物質を安定化可能な配位結合を利用することで、蒸気が配位することによるベイポクロミズムを示すのではないかと考え、蒸気の配位サイトとしてカリウムイオンを有する新規白金(II)錯体を合成し、その蒸気応答性を調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2-プロパノールにおいては,細孔径が大きい[Pt(CN)2(H2dcbpy)]でより速い等方回転運動が生じていることが分かった。これに対し,エタノールは[Pt(CN)2(H2dcbpy)]中で,細孔径が小さい[Pt(CN)2(H2dcphen)]中よりも運動が抑えられていることが分かった。[Pt(CN)2(H2dcbpy)]中でエタノールは容易に配位子のカルボキシ基と相互作用するが,[Pt(CN)2(H2dcphen)]中では配位子のフェニル基がエタノールとカルボキシ基の相互作用を妨げていることが予想される。このように,ゲスト分子のサイズや形状の違いによって,単に細孔のサイズだけでは説明できないゲスト分子の運動状態が明らかになった。ベイポクロミック金属錯体に吸着した分子の挙動を調べる上で,細孔内の局所構造や相互作用を考慮することが重要であることが分かった。 蒸気の配位サイトとしてカリウムイオンを有する新規白金(II)錯体、K[Pt(CN)2(Cl2ppy)] (Cl2ppy = 2-(3-chlorophenyl)-4-chloropyridine)を新規に合成し、その蒸気応答性を調査した。合成した錯体は有機溶媒蒸気に曝露すると、曝露した物質がカリウムイオンに配位しながらその色や発光色を変化させる、ベイポクロミズムを示すことがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
ブタノールなどさらに異方性の大きなゲスト分子についての運動状態の解析を進める。また,ゲスト分子間の相互作用の分子運動への寄与を明らかにするため分子吸着量の測定を行う。 領域内の共同研究により、他の金属錯体における配位子の運動状態の解析を行い物性との関係を明らかにする。
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Research Products
(6 results)