2020 Fiscal Year Annual Research Report
Single-Particle Emission Observation of Stimulation-Induced Structural Dynamics
Publicly Offered Research
Project Area | Soft Crystals: Science and Photofunctions of Easy-Responsive Systems with Felxibility and Higher-Ordering |
Project/Area Number |
20H04673
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
立川 貴士 神戸大学, 分子フォトサイエンス研究センター, 准教授 (20432437)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 有機無機ペロブスカイト / 1粒子分光 / ナノ粒子 / 外部刺激 / 発光性メカノクロミズム |
Outline of Annual Research Achievements |
特定の刺激に応答し、構造・物性・反応性を瞬時に変化させるソフトクリスタルが近年注目されている。一方、これらの多様かつ複雑な振る舞いを支配しているメカニズムに関しては理解が十分に進んでいないのが現状である。そこで本研究では、機械的刺激、光、溶媒蒸気、イオンの添加などの外部刺激によって誘起される有機・無機材料の構造-発光変化をその場観測できる1分子(1粒子)蛍光顕微鏡システムを開発した。 本研究では、自作のフローリアクターを用いることで、次世代の太陽電池や発光デバイスへの応用が期待されている有機無機ペロブスカイトCH3NH3PbI3ナノ結晶が形状と発光効率を維持したまま、CH3NH3PbI3ナノ結晶に変換する様子を観測することに成功した。興味深いことに、CH3NH3PbI3由来の赤色発光が消失した後、数十秒から数百秒経ってから、突然、CH3NH3PbBr3由来の緑色発光が生じることがわかった。途中で発光が観測されなくなる理由は、イオンが組み変わる際に内部の結晶構造が部分的に乱れ、無輻射失活が促進されたためである。X線構造解析の結果もふまえると、I-イオンと置き換わったBr-イオンが表面にBrリッチな層を形成しながら徐々に内部に拡散し、その後、粒子内部にCH3NH3PbBr3の結晶核を形成し、協同的に成長することで突発的に緑色発光が生じるというメカニズムが示唆された。また、機械刺激、蒸気、温度、磁場、電圧などの外部刺激の下、1粒子レベルで蛍光観測ができるシステムを新たに構築した。特に、世界初となる有機輝尽発光材料の近赤外光・外部磁場応答性や発光性メカノクロミック分子における結晶-アモルファス相転移のその場観測に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノ粒子の構造および発光変化に関して単一粒子観測ならではの知見を獲得することができ、メカニズムの解明に大きく近づいた。また、異なる専門分野の研究者と共同研究を進めることで研究を大きく進展できたことは、新しい学問分野を開拓する上で大変有益であった。一方、成果発表に関しては、基礎的データの取得やデータの解釈に時間を要したため、学術論文への投稿が当初の予定より遅れている。以上より、本研究課題の進捗状況は、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得られてきた有機無機ペロブスカイトの外部刺激構造制御法や単一粒子発光観測技術をさらに発展させ、ソフトクリスタルの学理構築につながる知見を獲得する。また、得られた成果を学術論文としてまとめ、発表する。
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