2020 Fiscal Year Annual Research Report
Systematic preparation and functionalization of organic metastable crystals using salt-cocrystal continuum phase
Publicly Offered Research
Project Area | Soft Crystals: Science and Photofunctions of Easy-Responsive Systems with Felxibility and Higher-Ordering |
Project/Area Number |
20H04675
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小野 利和 九州大学, 工学研究院, 准教授 (20643513)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 塩ー共結晶連続体 / イオン結晶 / 中性子構造解析 / 単結晶X線構造解析 / 固体発光 / ベイポクロミズム / サーモクロミズム |
Outline of Annual Research Achievements |
酸―塩基複合体は、プロトン移動を伴うイオン性の“塩”、プロトン移動を伴わない中性の“共結晶”、部分的なプロトン移動を伴う“塩―共結晶連続体”の3状態をとる。これらの状態は、塩基と酸のpKaの差 (⊿pKa = pKa(base) ー pKa(acid))に従いpKaルールと呼ばれる。経験上⊿pKa> 4は“塩”、⊿pKa< -1は“共結晶”となる。-1 < ⊿pKa< 4の領域は、塩、共結晶、塩ー共結晶連続体のいずれかとなり、パッキング様式や外部因子も関わり、予測困難である。本研究では、この塩ー共結晶連続体が示す不安定な領域を、結晶の準安定状態であるとみなした光機能材料の創製を目的としている。 本年度は、ピリジル基を含む分子内電荷移動型色素(1)と種々の有機酸からなる酸塩基複合体の網羅的な合成を行い、塩ー共結晶連続体からなる光機能性材料の創製を行った。なかでも1とサリチル酸からなる酸塩基複合体は、ゲスト分子の有無による発光特性変化を示し、これがプロトン化度の違いに起因する光学特性変化であることを中性子構造解析、hirshfeld atom refinement(HAR)、温度可変の発光励起スペクトルから明らかとした。 また新たな酸塩基複合体を用いた固体発光材料の創製を目的として、ピリジル基とカルボン酸を含むホスト分子を合成した。この分子単独では固体中でピリジル基とカルボン酸との間で水素結合を形成し、水色発光を示した。この分子に対しトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを混合し、ミキサーミルで混合し固相反応を行ったところ、ピリジル基とトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランがホウ素ー窒素結合を形成することで、カルボン酸部位が2分子間でカルボン酸ダイマーを形成し、結果として芳香族ゲストを取り込み、ゲスト分子の種類に応じて発光色変化が生じる共結晶材料となることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
塩共結晶連続体におけるプロトン化度の評価を行なうために、中性子構造解析、hirshfeld atom refinement(HAR)、温度可変の発光励起スペクトル等の新しい手法に取り組むことで、順調に成果を上げることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
塩ー共結晶連続体からなる光機能性材料の一般性を示すために、他の発光性色素の組み合わせについても検討を行ない、ソフトクリスタルとしての検討を行なう。発光特性については、バルクでの測定であったため、今後は、顕微分光等を用いることで結晶1粒での評価も系統的におこないたい。
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Research Products
(4 results)