2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of mechanically responsive soft crystals by photo-triggered phase transition
Publicly Offered Research
Project Area | Soft Crystals: Science and Photofunctions of Easy-Responsive Systems with Felxibility and Higher-Ordering |
Project/Area Number |
20H04677
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
谷口 卓也 早稲田大学, データ科学センター, 准教授(任期付) (20843907)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 光トリガー相転移 / メカニカルソフトクリスタル / 光異性化 / 力学特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は光によって結晶の構造相転移が誘起される「光トリガー相転移」という相転移現象をこれまでに発見していた。この光トリガー相転移は光が到達していない領域にまで構造変化が伝播する点が他の光応答現象とは異なり、また、分子の光異性化に起因するため、逆異性化によってもとの結晶相に戻ることができる可逆的な相転移である。本研究課題は、光トリガー相転移結晶をソフトクリスタルの一種と捉え、そのメカニカル機能を創出するこを目的としたものである。 本年度は、光トリガー相転移の変形や発生力を測定した。光トリガー相転移結晶は光照射すると単純な屈曲とねじれが段階的に起こることが分かり、結晶先端方向からその変形挙動を観察することで変位とねじれ角を評価することができた。また、結晶の(001)面に光照射した場合と(00-1)面に光照射した場合では発生力の時間変化の挙動が異なることが分かった。得られたメカニカル特性からエネルギー変換効率や弾性エネルギー密度などを計算し、他の光駆動結晶と比較した。その結果、有機結晶のなかではエネルギー変換効率が高い部類であることがわかり、光トリガー相転移のエネルギー障壁が小さいためにエネルギー損失が少なく、メカニカル機能を創出していることが分かった。また、光トリガー相転移が他の光応答結晶でも発現するかどうかを調べるため、似た分子の結晶を作製し、光応答性や結晶構造、相転移の有無などを調べた。2020年度から2021年度に開催が延期となっていた国際学会Pacifichem2021に参加し、得られた研究成果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光トリガー相転移現象を利用したメカニカル機能を創出し、その機能を変形挙動や発生力で観察・測定できている。また、その結果からエネルギー変換効率などを計算し、メカニカル機能について評価している。また、他の光応答性結晶についても光トリガー相転移の有無を検討できている。
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Strategy for Future Research Activity |
メカニカルソフトクリスタルの変形挙動と有限要素法による変形シミュレーションを対応づける。また、ナノスケールでの力学特性を測定し、マクロスケールでの力学応答と比較し、マルチスケールの力学特性と変形の関係を調べる。
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