2020 Fiscal Year Annual Research Report
Application of Electrical Conductive Soft Crystals to Opto-Electronic Devices
Publicly Offered Research
Project Area | Soft Crystals: Science and Photofunctions of Easy-Responsive Systems with Felxibility and Higher-Ordering |
Project/Area Number |
20H04679
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
大久保 貴志 近畿大学, 理工学部, 教授 (90322677)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 導電性ソフトクリスタル / インピーダンス分光測定 / エレクトロルミネッセンス / 薄膜太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では導電性と発光特性を兼ね備えた導電性ソフトクリスタルの開発を行っており、その導電性や発光特性に関して研究している。具体的には、導電性と発光特性を兼ね備えた導電性答性ソフトクリスタルを有機ELや有機薄膜太陽電池、電界効果トランジスタ(FET)、二次電池、熱電変換素子などの光電子デバイスへと応用することで、ソフトクリスタルの実用の可能性を検証することを目的としている。以下、それぞれの結果の概略を記す。 ①導電性と発光特性を兼ね備えたソフトクリスタルの開発:導電性と発光特性を兼ね備えたソフトクリスタルを創成するために、ハロゲン化銅と含窒素π共役配位子からなる配位高分子を合成した。また、真空蒸着法と溶媒アニール法を組み合わせることで、基板上に数十ナノメートル経の針状結晶を成長させることに成功した。 ②導電性ソフトクリスタルのリチウムイオン電池への応用:本研究で合成した導電性ソフトクリスタルを用いたリチウムイオン電池を作製し、その充放電特性を検討した。その結果、コバルト酸リチウムを正極とした二次電池と同程度の150 mAh/gの容量を示すことが明らかになった。 ③導電性ソフトクリスタルの有機EL素子への応用:新規発光性π共役材料を溶液プロセスにて成膜することで有機EL素子を作製し、そのEL特性を評価した。 ④電場応答性ソフトクリスタルの誘電異常発現機構の解明:銅イオンの変位により巨大な誘電応答と高いキャリア移動度を示す電場応答性ソフトクリスタルについて、断熱型熱量計を用いた熱容量測定を行い、その相転移現象に関して検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究ではこれまで数多くの導電性ソフトクリスタルの合成に成功している。特1(M+X)LCTからのエネルギー移動による三重項クラスターセンター(3CC)からの発光、熱活性化遅延蛍光(TADF)、リン光など、導電性ソフトクリスタルそれぞれの構造と電子状態によって異なるメカニズムによる発光を示すことが見いだされた。また、リチウムイオン二次電池の材料としても高い容量を示すことが明らかになっている。今回、主に導電性ソフトクリスタルを有機EL素子へと応用することを目指しているが、当初の予定どおり有機ELの評価装置を導入し、有機EL素子の作製と評価を行うことができる環境を整えた。従って、概ね順調に研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、より長波長側まで吸収可能な導電性ソフトクリスタルを合成するために、LUMO準位の深い配位子の合成を行っている。今後はそれら配位子を用いた新規配導電性ソフトクリスタルの合成と導電性および発光特性の評価を行う。また、光導電性を測定するための装置のセットアップを行っており、導電性ソフトクリスタルの光導電性なども評価する予定である。更に、本研究では真空蒸着法と溶媒アニール法を組み合わせることで導電性ソフトクリスタルの薄膜化が可能であることを見いだしたため、残りの期間で導電性ソフトクリスタルを用いた有機EL素子の作製と評価を行う予定である。
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