2020 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内オルガネラ膜結合分子の拡張とin vivo展開
Publicly Offered Research
Project Area | Chemical Approaches for Miscellaneous / Crowding Live Systems |
Project/Area Number |
20H04706
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
築地 真也 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40359659)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 細胞内オルガネラ / オルガネラ膜 / 脂質 / 分子認識化学 / 局在性化合物 / in vivo |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、細胞内の特定のオルガネラ膜に特異的に結合する合成分子レパートリーを開拓・拡張することを目的とする。さらに本研究では、動物個体内で使えるオルガネラ膜結合分子ツールを創製する。これにより、培養細胞のみならず、in vivo夾雑環境下におけるオルガネラ膜の特性・機能や、オルガネラ膜が関与するさまざまな情報伝達・生命現象をin situ解析・ 制御するための強力で革新的な化学的アプローチを切り拓く。本年度は以下の成果を達成した。 1)新規ゴルジ体膜局在化モチーフの開発と応用。我々は昨年度の研究(第1期公募研究)において、細胞内ゴルジ体膜に局在する新規モチーフ(トリメチル化myrGCモチーフ)を見出すことに成功していた。今回このモチーフを活用することで、細胞内ゴルジ体の表面に自発的に局在する小分子リガンドを創製し、それを用いたゴルジ体へのタンパク質局在移行誘導技術を構築することに成功した。本システムを用いることで、ゴルジ体上のRasの特異的活性化やゴルジ体PI4Pのコンディショナルな枯渇を誘導することができることを実証し、論文発表および特許出願を行った。 2)In vivoで使える細胞膜局在性化合物の開発。我々は今回、in vivoで使えるchemogeneticなタンパク質局在制御システムの開発を目指し、in vivoの分子夾雑環境下で標的タンパク質を細胞膜へリクルートすることのできる新規の化合物構造を複数見出すことに成功した。現在さらなる改良と応用を展開している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のように、本年度はゴルジ体膜に特異的に結合する新規小分子モチーフを開発し、それを利用したタンパク質局在制御ツールを開発することに成功した。ゴルジ体膜表面に特異的に結合する小分子化合物はこれまでほとんど例がなく、先駆的な成果と言える。また、in vivoで使えるタンパク質局在制御化合物の開発は大変チャレンジングな課題であるが、すでに有望な成果を得ており、今後の進展が期待される。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、in vivoタンパク質局在制御技術の開発をより精力的に進めると同時に、まだ狙うことのできていない他のオルガネラ膜に対する新規局在・結合モチーフのさらなる開拓を進める。
|