2020 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis and control of glycan function on cell surface crowding biosytems by synthetic biology
Publicly Offered Research
Project Area | Chemical Approaches for Miscellaneous / Crowding Live Systems |
Project/Area Number |
20H04709
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
真鍋 良幸 大阪大学, 理学研究科, 助教 (00632093)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 糖鎖 / 免疫 / 複合化 / 糖鎖合成 / レクチン / 分子夾雑 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者の合成N-グリカンライブラリを保持している.これを用いて糖鎖の形成する分子夾雑に挑む.まず,HaloTagテクノロジーを用いて均一な合成糖鎖で標識されたモデル膜タンパク質を調製し,細胞表面の分子夾雑系において,それぞれの構造の糖鎖が形成する相互作用ネットワークを解析する.これにより,N-グリカンが膜タンパク質の機能を調節する分子基盤を解明する.さらに,本手法を種々のタンパク質に適用し,それぞれのタンパク質における糖鎖修飾の意義の違いや共通性について検証する.また,糖鎖機能に基づいたタンパク質の機能制御も検討する.加えて,複数のTagを組み合わせることで,細胞表面でN-グリカンのグリコフォームを設計・再構築し,不均一性という概念を含む高次の分子夾雑を解析することで,糖鎖の本質的な意義に迫る. i) 合成糖鎖の生細胞表面への提示と細胞表面夾雑系における相互作用解析:HaloTagテクノロジーにより,単一の合成N-グリカンで修飾したモデル膜タンパク質を生細胞上で調製し,細胞表面の分子夾雑系において,それぞれの構造のN-グリカンが様々な分子と相互作用した結果として膜タンパク質の動態に及ぼす影響を調べる.この系を確立し,レクチンとの相互作用が膜タンパク質の動態に影響を与えることを示した. ii) タンパク質ごとの修飾糖鎖の機能解析と制御:上記の系を複数の膜タンパク異質に対して適用することで,タンパク質ごとの糖鎖修飾の機能について評価する.このためのHaloTag融合タンパク質しるーずの調整に成功した. iii) グリコフォームの再現と夾雑系における創発的機能発現の検証:複数のTagを組み合わせて用いることで,複数のN-グリカンによる修飾を再現したモデル膜タンパク質を調製し,この動態を解析する.本年はこれに用いるための複数のN-グリカン合成を達成した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の肝は,N-グリカンの合成である.機能解明には,均一構造のN-グリカンを用いることが必須で,そのために化学合成を検討している.一方で,巨大な糖鎖の合成は大きな困難を伴い,時間,労力もかかる.これまでに,N-グリカンの大量合成を指向し,さまざまな検討を行ってきた.精密条件下でのスケールアップが可能なマイクロフロー反応を有効に利用し,中間体となるフラグメント(2-4糖構造)を10 g以上のスケールで合成した.また,グリコシル化反応でのエーテル溶媒による反応中間体の安定化や,アミド(‐NHAc)のイミド(‐NAc2)保護による反応性向上の効果を見出した.巨大な糖鎖同士のグリコシル化において保護基のパターンを最適化することで,収率,立体選択性が劇的に向上することも示した.これにより複数のN-グリカンの合成を達成した.この過程で,汎用性の高い合成ルートを採用しているため,多くのN-グリカンにこの合成法は適用可能で,実際,ここで確立した本研究で用いる複数のN-グリカン合成を達成した. 合成生物学的手法を用いて細胞表層の糖鎖分子夾雑解析系の解析を目指す本研究のカギテクノロジーはTagタンパク質を用いた合成糖鎖の細胞表層への提示である.これによりそれぞれの構造の糖鎖が細胞表層で形成する相互作用ネットワークにアプローチすることができる.すでに複数のタンパク質とHaloTagを融合したコンストラクトの発現に成功しており,ここに合成糖鎖を提示することにも成功している.加えてこの合成糖鎖がレクチンに認識されることも確認た.現在,蛍光顕微鏡を用いたより詳細な動態評価に着手しており,糖鎖とレクチンの相互作用が細胞表層におけるタンパク質の動態を制御していることが徐々に明らかになりつつある.
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Strategy for Future Research Activity |
i) 合成糖鎖の生細胞表面への提示と細胞表面夾雑系における相互作用解析:申請者は,合成糖鎖を細胞表面に提示するシステムを構築した.この膜タンパク質の蛍光観察により,糖鎖が膜タンパク質の動態に及ぼす影響を調べる.末端ガラクトースやコアフコースがエンドサイトーシスを抑えることを示唆する結果が報告されているが,生化学的実験からの間接的なデータである.本ステムを用いて,この現象を明確に示す.さらに,STD-NMRでレクチンによる認識部位を明らかにする.その際,N-グリカンの部分構造を用いた実験も行い,糖鎖の全体構造を用いたときと比較し,糖鎖のコンフォメーションや運動性がレクチンとの相互作用に与える影響を考察する. ii) タンパク質ごとの修飾糖鎖の機能解析と制御:複数のタンパク質にそれぞれHaloTagを融合し,タンパク質ごとの糖鎖修飾の機能を調べる.ここでは,各タンパク質の動態に加え,それぞれの膜タンパク質の下流シグナルについても検証する.本実験により,糖鎖修飾がそれぞれのタンパク質の機能へ与える影響を解明する.なお,その分子基盤は解明されていないが,コアフコースや末端ガレクチンがEGFR,インテグリンの活性を調節することは,糖鎖生合成酵素のノックアウトにより報告されている.そのため,糖鎖導入の効果が本システムで観測されない場合は,HaloTagの導入位置や糖鎖の導入量を検討し,最適な系を構築する. iii) グリコフォームの再現と夾雑系における創発的機能発現の検証:ここでは,HaloTagのほか,SNAPTagやCLIPTagなど異なるTagを組み合わせて用い,それぞれに対応する糖鎖リガンドを順次作用させることで,膜タンパク質を任意のパターンの糖鎖で標識し,このタンパク質の動態を解析する.
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Research Products
(21 results)
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[Journal Article] Unveiling Molecular Recognition of Sialoglycans by Human Siglec-102020
Author(s)
Forgione Rosa Ester、Di Carluccio Cristina、Guzman-Caldentey Juan、Gaglione Rosa、Battista Filomena、Chiodo Fabrizio、Manabe Yoshiyuki、Arciello Angela、Del Vecchio Pompea、Fukase Koichi、Molinaro Antonio、Martin-Santamaria Sonsoles、Crocker Paul R.、Marchetti Roberta、Silipo Alba
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Journal Title
iScience
Volume: 23
Pages: 101231~101231
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] Immunological Evaluation of Conjugate/Co-Assembly of Peptide Antigen and Adjuvant as Self-adjuvanting Anti-breast Cancer Candidates2020
Author(s)
Keita Ito, Yoshiyuki Manabe, Taku Aiga, Tsung-Che Chang, Kazuya Kabayama, Shino Ohshima, Yoshie Kametani, Hiroto Furukawa, Hiroshi Inaba, Kazunori Matsuura, and Koichi Fukase
Organizer
第57回ペプチド討論会
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