2020 Fiscal Year Annual Research Report
Selective anti-cancer activity based on the self-assembly induced by an enzyme in cancer cells
Publicly Offered Research
Project Area | Chemical Approaches for Miscellaneous / Crowding Live Systems |
Project/Area Number |
20H04711
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
丸山 達生 神戸大学, 工学研究科, 教授 (30346811)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 超分子 / バイオマテリアル / 自己組織化 / ゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで我々はペプチド脂質の分子構造を工夫することで、ガン細胞選択的に取り込ませ、かつ細胞内での合成分子の自己組織化によりガン細胞を殺傷可能であることを実証してきた。これまでの研究(他研究グループも)では、ガン細胞内外の加水分解酵素に応答して、細胞毒性を発揮する例がほとんどであった。そこで我々は、ガン細胞内で特徴的に亢進しているキナーゼ(リン酸化酵素)を使って、ガン細胞内でペプチド脂質から抗ガン剤を合成させることを試みた。このガン細胞内で合成した分子が、分子夾雑環境である細胞内で自己組織化し、ガン細胞を選択的に死滅させることを狙った。種々の培養細胞内のチロシンキナーゼ活性量の測定を行った結果、A431細胞内のチロシンキナーゼ活性量が他の細胞に比べ高いことが判明した。これらの細胞に対する、十数種類の合成ペプチド脂質の毒性について検討したところ、ペプチド脂質C16-EEEEY (palmitoyl-Glu-Glu-Glu-Glu-Tyr)がA431細胞に対して選択的に強い毒性を示した。このA431細胞を採取し、MALDI TOF/MSにより分析したところリン酸化したC16-EEEEpYが観測された。また蛍光ラベル化したNBD-C8-EEEEYを用いた検証より、ガン細胞によるペプチド脂質の取り込みが可視化に成功した。特に小胞体(ER)近傍にNBD-C8-EEEEYが集積していることが明らかとなった。別検討からC16-EEEEpYはC16-EEEEYに比してゲル化(自己組織化)しやすいことがわかっている。以上より、ペプチド脂質C16-EEEEYは細胞に取り込まれ、A431細胞内で亢進しているキナーゼの作用によりリン酸化され、細胞内で自己組織化体を形成し、A431細胞を選択的に死滅させたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
キナーゼを利用した選択的癌細胞殺傷に成功しているため
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Strategy for Future Research Activity |
1.細胞死のメカニズム解明 ペプチド脂質の細胞内自己組織化がなぜ細胞死を引き起こすのか、そのメカニズムを調べる。まず用いる細胞種のチロシンキナーゼ活性を測定し、ペプチド脂質の毒性と細胞内チロシンキナーゼ活性に相関があることを示す(評価系既に確立済み)。このリン酸化ペプチド脂質による細胞死は、アポトーシス、ネクローシス、ネクロトーシスのいずれであるかを、各種関連酵素の阻害剤や市販のApoptotic / Necrotic assay Kitを用いて検討する。また細胞の小胞体(ER)へのペプチド脂質蓄積の有無により検証する。同時に、細胞質粘性評価を光褪色、細胞内ペプチド脂質蓄積状況等を調べる。ここでは、脂質分子が作り出す微小構造体の形成がその細胞取り込み挙動にどのような影響を及ぼすのかを明らかにし、その知見を細胞死の制御につなげる。同時に細胞内で形成するナノファイバーの動態(場所、形成スピード等)を明らかにし、細胞取り込み・細胞死との関連性を明らかにする。 2.動物実験 A431細胞を担癌したヌードマウスを用いて、ここで開発したペプチド脂質の制ガン効果を検証する。ここでは薬剤が低分子であるため、軟膏状にして患部に塗布して経皮投与を行う。具体的には既報(Mol. Pharmaceutics, 15, 955, 2018)に従い、ペプチド脂質とオリゴアルギニン、界面活性剤、イソプロピルミリステートの複合体を作製する。オリゴアルギニン(R8)は薬剤の皮膚透過性を向上させることが既に報告されている。また応募者の予備検討結果からも、R8がペプチド脂質の細胞膜透過性を向上させることが判明している。これをA431担癌マウスの患部に絆創膏を用いて塗布する。2日に一回この絆創膏塗布を繰り返し、4週間皮膚癌の成長度合いを観測する。
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Research Products
(6 results)