2020 Fiscal Year Annual Research Report
分子夾雑系でのタンパク質提示人工ウイルスキャプシドの自己集合と核酸内包挙動の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Chemical Approaches for Miscellaneous / Crowding Live Systems |
Project/Area Number |
20H04712
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
松浦 和則 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (60283389)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 人工ウイルスキャプシド / 自己集合挙動解析 / 分子夾雑系 / beta-annulusペプチド / 蛍光相関分光法 / mRNA / タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
球状ウイルスは、ゲノム核酸をタンパク質のキャプシドが覆うことで構築されているが、これまでに希薄水溶液中や細胞環境を模した分子夾雑環境下での、ウイルスキャプシド形成の定量的な解析は行われていない。本研究では、これまで開発してきたトマトブッシースタントウイルス由来のbeta-Annulusペプチドからなる人工ウイルスキャプシドの自己集合挙動を、分子夾雑下でも選択的に定量評価可能な蛍光相関分光(FCS)法を用いて解析した。 今年度は、N末端側およびC末端側にBODIPY蛍光色素を修飾したbeta-Annulusペプチドを合成し、その自己集合による人工ウイルスキャプシドの自己集合挙動をFCS解析した。N末端BODIPY修飾beta-Annulusペプチドの場合、1uMまでの濃度において、単独では自己集合せずに未修飾beta-Annulusペプチドとの共集合により人工ウイルスキャプシドを形成した。FCSから得られる遅い成分の割合の濃度依存性から解離定数を算出すると、希薄水溶液では42 uMであるのに対し、分子クラウディング剤としてPEG2000を存在させることにより解離定数は大幅に減少し、見かけの粒径が小さくなることを見出した。一方、C末端BODIPY修飾beta-Annulusペプチドの場合は、1uMにおいて単独でも自己集合し人工ウイルスキャプシドを形成した。この場合も、分子クラウディング剤(PEG, BSA, TMAO)存在下でキャプシドに相当する遅い成分の割合が増加し、粒径は小さくなることがわかった。 さらに、poly(A)テールを有するmRNAをdT20とのハイブリダイゼーションを介して人工ウイルスキャプシドに内包することにも成功し、その内包挙動をFCS解析することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の狙い通り、人工ウイルスキャプシドの自己集合挙動をFCS測定により定量的に評価することに成功し、分子クラウディング剤の添加により解離定数が低下することを示すことができた。この成果は、現在論文投稿中である。また、タンパク質修飾人工ウイルスキャプシドの自己集合のFCS解析や、人工ウイルスキャプシドへの核酸内包過程のFCS解析についても準備が整っており、概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト血清アルブミンや緑色蛍光タンパク質を表面提示した人工ウイルスキャプシドの自己集合挙動をFCS解析し、タンパク質修飾によるキャプシド安定化を定量的に評価する。また、その際の分子クラウディング剤の添加効果についても検討する。さらに、poly(A)テールを有するmRNAをdT20とのハイブリダイゼーションを介して人工ウイルスキャプシドに内包する際のFCS解析についても分子クラウディング剤の添加効果を検討し、ウイルスの核酸パッケージングにおける分子夾雑の効果についての知見を得る。
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Research Products
(16 results)