2020 Fiscal Year Annual Research Report
分子夾雑と生物時計
Publicly Offered Research
Project Area | Chemical Approaches for Miscellaneous / Crowding Live Systems |
Project/Area Number |
20H04719
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
北原 亮 立命館大学, 薬学部, 教授 (70512284)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シアノバクテリア / 圧力 / ATPase活性 / 尿素 / TMAO |
Outline of Annual Research Achievements |
シアノバクテリアの概日時計はKaiA、KaiB、KaiCの3つのタンパク質とATPで構成され、試験管内でKaiCのリン酸化サイクルを再構築できる。概日周期はリン酸化KaiC割合の周期的な変化として観測され、KaiCのATPase活性が周期長決定因子であることが分かっている。これまでの研究から、シアノバクテリアの概日時計の周期長が高圧下で短縮すること、ATPase活性が増加することを見出した(Kitahara et al. Sci. Rep. 2019)。高圧下でATPase活性が増加することから、KaiCのATPase活性は、負の活性化体積(収縮)を伴う。KaiC内の大きなキャビティーが分子収縮を可能にしたと考えている。「遷移状態では、分子収縮に伴い触媒残基や水、ATPなど加水分解に必要な要素が集合し、反応が生じる」という仮説をたてた。本研究では、圧力範囲を400気圧まで延長し、リン酸化周期調とATPase活性の変化を追跡した。また、添加物として有機小分子(尿素とトリメチルNオキシドTMAO)の効果について研究を行なった。TMAOと尿素について、リン酸化周期長やATPase活性、リン酸化活性に異なる応答がみられ、双方を添加した時には相殺効果が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
シアノバクテリアKaiCのリン酸化周期長の測定には、KaiA, KaiB, KaiCの3つのタンパク質を純度良く生合成する必要があるが、一時的に高い純度の精製ができなくなった。コロナ禍で機器や精製用カラムの修理、物品の納期が従来より大幅に遅れたことも一因にある。
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Strategy for Future Research Activity |
1)尿素およびTMAOについて、KaiCリン酸化周期長、ATPase活性、リン酸化活性に変化が見られたことから、そのメカニズムの解明を行う。 2) KaiCリン酸化サイクルの決定因子であるATPase活性が加圧により増加することから、負の活性化体積を算出した。これらの結果から、体積揺らぎがATPase活性を制御するという仮説に至った。これまで確認されているKaiC周期長変異体を用いて仮説を検証する。 3) KaiCリン酸化周期長とATPase活性のpH依存性を調べる。
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Research Products
(6 results)