2020 Fiscal Year Annual Research Report
Measurements of small-scale density fluctuations with gravitational waves
Publicly Offered Research
Project Area | Gravitational wave physics and astronomy: Genesis |
Project/Area Number |
20H04725
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大栗 真宗 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (60598572)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 重力波 / ダークマター |
Outline of Annual Research Achievements |
重力波の伝搬の波動光学効果を詳しく調べ、これにより小質量ダークマターハローや原始ブラックホールを検出できるかどうかを検討した。ボルン近似を用いた計算により重力波の振幅や位相の変化と密度分布パワースペクトルとの関係を調べた。小スケールの密度ゆらぎパワースペクトルはこれまで研究があまりなくあまり理解されていない。我々はハローモデルに基づく解析により、パーセク以下の非常に小さいスケールまでのパワースペクトルを計算しその振る舞いを調べた。バリオン物理の効果はパーセクスケールでは比較的小さくなり、小質量ダークマターハローに適していることがわかった。また原始ブラックホールがあるとそのショットノイズによりパーセク以下のスケールで大きなパワースペクトルが予言されることがわかった。これらの計算をもとにしていろいろな周波数での重力波波形への影響を調べた。波動光学効果により周波数依存する振幅と位相の分散が検出されれば、1太陽質量から10の4乗太陽質量という、これまで未開拓の小質量ダークマターハローの存在量を制限しうるという興味深い結果を得た。また原始ブラックホールが存在した場合、その質量が1太陽質量程度であればその存在量に強い制限を課すことができることがわかった。これらの研究成果により、重力波を小スケールダークマター分布の新しいプローブとして活用できることを示し、その応用に道を切り開くことができたのは大きな研究成果である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に得た研究成果を査読論文としてまとめ、Astrophysical Journal誌に出版することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はダークマターの小スケール分布を、非常に軽いダークマターモデルで解析し、重力波による検出可能性を検討したい。
|
Research Products
(1 results)