2020 Fiscal Year Annual Research Report
Continuous gravitational wave and a neutron star interior in a binary system
Publicly Offered Research
Project Area | Gravitational wave physics and astronomy: Genesis |
Project/Area Number |
20H04728
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤澤 幸太郎 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (30732408)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 重力波 / 中性子星 / 磁場 / パルサー / 連星 / 質量降着 / 磁気山 / GS方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
連星中性子星や連星ブラックホールの合体からの重力波が直接検出されるようになり、今や重力波は重力波天文学として天文学の新しい一分野となった。本研究課題はこの中でも特に連続重力波に着目している。連続重力波は振幅と周波数がほぼ一定の重力波で、自転に対して非軸対称的な構造を持って回転している中性子星が連続重力波の有力な候補天体と考えられている。連続重力波自体はまだ直接検出されていないが、中性子星の情報を含んでいるため、この連続重力を研究することで中性子星の構造に迫ることも可能である。 中性子星の非軸対称的な構造の起源としては様々なものが考えられているが、本研究課題では特に、連星系内の中性子星で有力視されている磁気山モデルに着目する。連星系内の中性子星表面には伴星からの質量降着がおきているが、この時中性子星の磁場によって降着物質が支えられると、磁場による山、磁気山が形成されると考えられている。この山が十分に大きければ、連続重力波を放出することができる。 これまでの磁気山のモデルでは、中性子星の磁場を双極子磁場であると仮定していた。しかし最近のNICERによる中性子星表面の観測結果によると、中性子星は表面で双極子磁場よりも複雑な多重極磁場を伴っていることが明らかになってきている。そこで本研究課題では、複雑な多重極磁場を伴っている中性子星の磁気山の構造を計算するための定式化と数値計算コードを新しく開発し、磁気山の構造を解を多数求めた。その結果、局所的に強い多重極磁場があると、磁気山の大きさは1桁から2桁程度大きくなりうることが明らかになった。さらに多重極磁場が降着によって埋め込まれているときは、強いトロイダル磁場を埋め込めることも明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、磁気山の定式化や、数値計算コードの開発などを予定通り行うことができた。また、その数値計算コードを用いて、磁気山の解の系統的な探索なども行い新しい解が多数見つかり磁気山の理解も深まった。これまでの研究結果は学会や各種シンポジウムで発表しており、また現在、国際学術誌へ論文を投稿準備中である。このため、本研究課題はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ、これまでの研究成果を論文としてまとめており、近いうちに国際学術雑誌に投稿するよていである。まずはこの論文の出版していくことを目指す。一方で、磁気山がバロクリニックの時の定式化や数値計算コードの開発もすんでおり、さらに広いパラメータ空間で磁気山の構造を解析していくことが可能である。今後はこれまで開発した数値計算コードを用いて、磁気山の構造を系統的に計算して解析していくことで、理解と議論を深めていく予定である。
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