2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of inhibiotrs for reactive sulfur species-producing enzymes by utilizing fluorescent probes and their biological analysis
Publicly Offered Research
Project Area | Frontier research of chemical communications |
Project/Area Number |
20H04767
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
花岡 健二郎 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 准教授 (70451854)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 薬学 / 分析科学 / 生体分子 / 分子認識 / 有機化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、近年注目されている活性硫黄分子種の産生酵素として報告されているCSE(cystathionine γ-lyase)及びCBS(cystathionine β-synthase)の選択的阻害剤を独自に開発した蛍光プローブを用いて探索することを目指す。それによって、CSE及びCBSのH2Sを含む活性硫黄分子種の産生に関わる生細胞内での役割の解明に貢献したい。これまでに、同一領域の前回の公募研究にて、独自の蛍光プローブを用いた阻害剤のハイスループットスクリーニングによって、新たなCSE阻害剤を見出すことに成功している。さらに、見出したCSE阻害剤のin vitroでの阻害活性や阻害メカニズムをX線結晶解析やMD計算を用いることで明らかにしている。 令和2年度は、同一領域の前回の公募研究にて見出した選択的なCSE阻害剤の特性を更に精査すると共に、培養細胞(HEK283T細胞)へと応用した。具体的には、この阻害剤をCSEを一過的に過剰発現させたHEK293T細胞へと添加し、30分のインキュベーションの後に、細胞をライセート化して、プレートリーダーを用いてCSEに対する阻害剤の阻害活性を解析した。その結果、開発した阻害剤は細胞膜透過性を持ち、生細胞においても細胞内のCSEの酵素活性を阻害することが可能であることを明らかにした。また、CBSの選択的阻害剤のハイスループットスクリーニングを目指し、CBS蛋白質の大腸菌による大量発現・精製法についても確立することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は、当初計画していた、開発したCSE阻害剤の生細胞系での有用性を明らかにするとや、CBSの大腸菌での大量発現系および蛋白質精製法を確立することに成功した。さらに、PLP依存性酵素の酵素活性の新たな検出システムの構築にも成功しており、当初は計画していなかった新たな結果が得られていることから、当初の計画以上に進展しているとさせて頂いた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初に掲げたもう1つの活性硫黄分子種の産生酵素である、CBSの選択的阻害剤の開発を行っていく。現在、CBSの実用的な選択的阻害剤は存在しないため、新たな阻害剤を開発することで、活性硫黄分子種の研究分野を大きく進展させることができると考えている。また、CBSはCSEと比較してH2S産生能は低いため、産生量の少ないH2Sをも検出できる高いS/Nを示す新たな蛍光プローブの開発に取り組む。それによって、CBSの阻害剤探索のための新たなスクリーニング系を構築していく。
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