2020 Fiscal Year Annual Research Report
Natural product-based chemical tools for elucidation and regulation of 14-3-3-signaling pathways
Publicly Offered Research
Project Area | Frontier research of chemical communications |
Project/Area Number |
20H04769
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
大神田 淳子 信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (50233052)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 14-3-3 / フシコクシン / タンデムタグ / 共免疫沈降 / 定量的質量分析 / プロテオミクス解析 / mRNA翻訳抑制機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
フシコクシン(FC)は真菌が産出するジテルペン配糖体であり、植物のH+-ATPaseと14-3-3のPPI安定化剤として機能する。FCの12位水酸基を合成的に除去した誘導体は低酸素条件下で顕著な細胞増殖阻害活性を示すが、その作用機序の詳細は不明である。本研究では、N末端にFlagとStrep-Tag II-tagをタンデムに付与した14-3-3を用いた共免疫沈降とプロテオミクス解析により化合物によって亢進もしくは減弱する14-3-3の結合たんぱく質の網羅的解析を実施し、化合物の作用機序の詳細を解明することを目的とした。本年度は、N端にタンデムタグを付与した14-3-3を過剰発現させたHEK293細胞可溶化物を用いた共免疫沈降実験と定量的質量分析によるプロテオミクス解析を行った結果、1,174個の14-3-3相互作用たんぱく質が検出された。そのうち化合物に依存して14-3-3との相互作用が増強された150 kDaのたんぱく質Xに着目し、詳細な検証実験を行った結果、化合物が14-3-3とたんぱく質Xの相互作用を安定化することを明らかにした。たんぱく質XはmRNAの発現制御機構に関与していることから、BONCAT法による細胞の新生たんぱく質合成への化合物の影響を検証したところ、新生たんぱく質量が顕著に減少することを見出した。以上の結果から、たんぱく質XのmRNA発現制御機能には14-3-3との相互作用が必要であり、両者の相互作用を化合物が亢進するとたんぱく質合成が抑制され、細胞増殖阻害が起こる機序が示唆された。今後のより詳細な作用メカニズム解析により、mRNA翻訳抑制機構における14-3-3の役割が解明されるとともに、本天然物を基盤とする新たな創薬戦略が可能になると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は14-3-3たんぱく質の共免疫沈降と定量的プロテオミクス解析により、抗がん活性フシコクシン誘導体の作用標的を複数個同定することに成功した。そのうちのたんぱく質Xについて詳細な検証実験の結果、mRNA翻訳抑制機構における14-3-3の役割を初めて明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2年度目は、たんぱく質Xのドメインの発現とプルダウン試験を行い、14-3-3たんぱく質の結合位置を決定し、点変異導入により検証する。またsiRNAによるノックダウンによる化合物の活性への影響を検証する。また、定量的プロテオミクス解析により14-3-3と化合物に依存的にたんぱく質Xへの相互作用が亢進するたんぱく質を網羅的に同定し、未だ詳細が明らかでないmRNA翻訳抑制機構の全容と14-3-3の役割を解明する。 一方、同様の手法で14-3-3たんぱく質のすべてのアイソフォームのプロテオミクス解析を実施して14-3-3インタラクト―ムの全貌を解明し、本天然物が標的とし得る疾病をリストアップする。
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Research Products
(16 results)