2020 Fiscal Year Annual Research Report
低分子から中分子に至るあらゆる化学構造のヒト作用予測モデルの開発
Publicly Offered Research
Project Area | Frontier research of chemical communications |
Project/Area Number |
20H04774
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永安 一樹 京都大学, 薬学研究科, 助教 (00717902)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 深層学習 / セロトニン / 薬理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 化学構造のみから薬理作用を予測するモデルを開発するため、グラフ畳込みネットワークによる特徴量抽出法を導入し、ChEMBLに含まれる薬理作用データの予測性能を基に、ネットワーク構造の最適化を行った。127種類の受容体/酵素/チャネルへの親和性を高精度で予測することに成功した。さらに、抗うつ薬の作用点であるセロトニントランスポーターに対する予測IC50/Kiが10 nMを下回る化合物について合成し、セロトニントランスポーター発現細胞でその取り込み阻害作用を調べたところ、そのIC50は予測値に極めて近い6.24 nMであった。さらにこの化合物の抗うつ効果をマウス尾懸垂試験を用いて調べたところ、うつ様症状の指標である無動時間を有意に短縮させた(Sakai et al., Sci Rep. 2021)。 2. ヒトにおける副作用/薬効を予測するため、ヒト副作用ビッグデータであるFAERS中に含まれる低分子医薬品の薬理作用を網羅的に予測した。予測値に基づき、約1000万人の患者の服用薬物の総薬理作用を計算し、その薬理作用値から各副作用の発症有無を予測するモデルを構築した。その結果、127種類の受容体/酵素への作用予測値を用いることで、700種類以上の副作用について80%以上の精度で予測が可能となることが明らかになった。本モデルを拡張することで、さらに数多くの副作用およびその逆反応としての薬効について予測が可能となると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
薬理作用予測モデルの拡張は、当初の予定通り進捗しており、その一部は論文発表に至っている。 また、ヒト作用予測モデルへの応用も、当初の予定通り進捗しており、700種類以上の副作用について80%以上の精度で予測が可能となった。 以上の2点から、概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定通り、薬理作用予測モデルのさらなる拡張を行い、薬理作用ビッグデータChEMBLに集積されている薬理作用情報の全てを活用した予測モデルを構築する。構築した薬理作用予測モデルを用いて、ヒト作用予測モデルを行い、その性能評価を行う。さらに、精神疾患を中心に、治療効果をもたらす可能性が高い化合物を合成し、マウスモデルで評価を行う。
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Research Products
(7 results)