2020 Fiscal Year Annual Research Report
生体を対象としたマルチスケール発光指示薬によるリガンド評価システムの構築
Publicly Offered Research
Project Area | Frontier research of chemical communications |
Project/Area Number |
20H04777
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
服部 満 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (20589858)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 発光 / ルシフェラーゼ / 計測 / センサー / リガンド |
Outline of Annual Research Achievements |
生物由来のリガンドがその本来の役割とは別に、他の生物の生命現象に作用する例は非常に多く、特に医療や製薬の分野では、新薬の候補探索として天然物ライブラリからのスクリーニングが化合物ライブラリと並行して行われている。その作用の有無を判断するためには適切な検査システムが不可欠であり、その精度と再現性、さらには簡便な手法で高速に作業を行えることが求められる要素となる。したがって、スクリーニングから薬効評価までを通して一つの原理で行うことができる、マルチスケール指示薬の意義は非常に高い。 本研究は、生物活性リガンドの 機能評価を無細胞系ー生細胞ー個体とマルチスケールに行うための検出システムの開発を目的とする。ツールとして発光タンパク質を利用し、 スクリーニングから個体での薬効評価までを一つの指示薬で行う。開発においては、 I.赤色発光タンパク質再構成系を利用する上での最適な断片ペアの選抜 生体透過性が高い赤色発光タンパク質を材料として、二断片に分割することで二つの分子の結合/乖離を発光のON/OFFに変換できる原理を確立する。 II.赤色発光タンパク質再構成系を用いた、パーキンソン病関連因子検出センサーの開発 I. で開発した再構成系の断片ペアを用いて、 パーキンソン病の病理として代表的なレビー小体を高感度に検出するための生物発光センサーを開発する。 の各段階目標を設定した。本年度は主に赤色発光タンパク質の再構成断片ペアの選抜および、パーキンソン病関連因子検出センサーのプロトタイプ作製を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
I.赤色発光タンパク質再構成系を利用する上での最適な断片ペアの選抜 既に報告がされている他の発光タンパク質の再構成切断断片位置を参考に、赤色発光タンパク質に関して複数の断片を準備して相互作用の誘導によって再構成が起こり発光が生じるか、その効率をハイスループットに確認した。結果としてもっとも高い光度の発光を示すペアおよび、再構成前後でのダイナミックレンジが高いペアをそれぞれ選抜した。
II.赤色発光タンパク質再構成系を用いた、パーキンソン病関連因子検出センサーの開発 I. で開発した再構成系の断片ペアに対して、パーキンソン病の病理として代表的なレビー小体を構成するシヌクレインタンパク質を連結した。同融合タンパク質をヒト培養細胞へ発現させて、シヌクレイン凝集を誘導する薬剤を添加した結果、薬剤依存的な発光の上昇が確認された。ただしその光度は十分ではないため、センサー構造を改良する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
生物発光センサーと培養細胞を用いた、リガンドスクリーニングシステムの構築 開発したセンサーのプロトタイプを元に、実際のスクリーニングに使用できる性能を達成するため改良を重ねる。完成したセンサーを用いて、リガンド作用評価およびスクリーニングを行うための培養細胞安定発現株を樹立する。マルチウェルプレート上で培養することで、プ レートリーダーで大量に計測処理が出来るラインを整備する。
動物個体へのリガンド添加による生体応答のリアルタイム発光イメージング パーキンソン病に対するリガンドの効果を評価するため、センサーを動物個体に導入し、レビー小体の拡大および拡散の経時的変化を発光イメー ジング装置を用いて画像化する。
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Research Products
(3 results)