2020 Fiscal Year Annual Research Report
アレロケミカルを起点とした植物間コミュニケーション分子の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Frontier research of chemical communications |
Project/Area Number |
20H04780
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
新藤 充 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (40226345)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 重力屈性 / 植物 / 阻害剤 / アレロケミカル / 有機合成 / シロイヌナズナ |
Outline of Annual Research Achievements |
既に我々が見出したレタス幼根に対する重力屈性阻害剤ku-76をリード化合物として、様々な誘導体を合成してきた。これまでは初期スクリーニングであったため、構造活性相関研究に必要な化合物(アルケンの幾何異性体、アルケンをアルキン、アルケン、ベンゼン環へ置換、カルボン酸以外のアルコール、エステルなどの官能基、芳香環をアルカンに変換したものなど)および架橋環を有するku-76類縁体(ナフタレン、キノリン、フラン、チオフェン、ピロールなど)に関して、植物化学系の論文掲載に十分な質と再現性を求めてレタス幼根に対する重力屈性阻害試験を行った。十分に再現性が得られ、その実験結果を統計処理したうえで論文2報に投稿し掲載された。 オーキシンの植物根内での動的挙動と本阻害剤との関係など、植物生理学実験に供するために、全ゲノム解析が完了している一般的な試験植物であるシロイヌナズナを用いて、重力屈性阻害実験系の立ち上げを行った。クリーンベンチなどの十分な実験環境を整えたが、レタスよりも成長が遅く検体も微小であるためアッセイ系そのものの立ち上げには予想よりも時間がかかったが、概ね実験系は構築することができた。そして、ku-288などの化合物の重力屈性阻害試験を行った。その結果、ku-288ではシロイヌナズナはレタスよりも感度が低かったが、重力屈性阻害効果そのものは観察された。また、化合物によっては根がとぐろを巻くような数値化できない現象が現れたり、伸長阻害効果も見られたので、さらに再現性も含めて実験を繰り返す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
シロイヌナズナを試験対象とした植物実験を実験協力者の実験室を訪問し、手技を教わる予定であったが、コロナ禍で動けず、自ら立ち上げるに至ったことと、実験そのものが3か月ほど中断したため、予想よりも実験が遅延した。また、その他の植物生理実験に関してもオンライン打合せをしたにとどまった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はシロイヌナズナでの試験を軌道に乗せるべく努力する。さらにポット試験による検定に切り替えることも検討している。今年いっぱい出張がままならない状況を鑑みて、自研究室実験でできる範囲内での実験で有効なデーターを取るようにする。
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Research Products
(22 results)