2020 Fiscal Year Annual Research Report
On-demand Hybrid Catalysts based on Stimuli-Responsive Polymers and Nanoporus Coordination Polymers.
Publicly Offered Research
Project Area | Hybrid Catalysis for Enabling Molecular Synthesis on Demand |
Project/Area Number |
20H04796
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐田 和己 北海道大学, 理学研究院, 教授 (80225911)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ハイブリッド触媒 / 有機触媒 / 温度応答性高分子 / 有機金属構造体 / オンデマンド触媒 / 刺激応答性触媒 / ナノ多孔性配位高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでのフラスコ内での有機合成化学反応の開発は化学反応の新奇な活性種を作りだし、一般性の高い反応、すなわち、(1)高選択的でかつ高収率で、(2)基質特異性が低く、様々な立体構造や官能基を持つ基質群を、生成物へと化学変換する有機反応系の開発が最も重要視されている。生体内の酵素のような調節機能を持つ触媒系を利用して、複数の反応を並列的に取り扱うことがいまだにできない点は有機合成化学の大きな問題である。このような状況のもと、申請者は高分子と相互作用する低分子(エフェクター)を共存させることで、高分子にLCST型の温度応答性を付与できるシステムを構築し、その温度応答性高分子に有機触媒を導入し、刺激応答して高分子のコンフォーメーション変化するオンデマンドハイブリッド触媒の開発を行い、高分子のコンフォーメーション変化を誘起する有機低分子の有無および温度変化に応答して、触媒作用を制御することに成功した。しかしながら、オンデマンド性としては、急峻な触媒作用の加速・減速が実現できていない。これは触媒サイトの遮蔽が十分ではなく、ある程度表面に露出してしまうためと考えられ、さらに温度応答性高分子の分子設計が未熟であるため、適切に遮蔽できない点も重要と思われる。 このような状況のもとで、温度応答性高分子と有機触媒をナノ多孔性配位高分子の表面に修飾・ハイブリッド化し、刺激応答性高分子の収縮・伸張による、より効率的な触媒サイトの遮蔽を行うことを目指した。また、温度応答性高分子としては、これまでの限られた媒質での温度応答が主に報告されており、したがって、高分子の種類や適用できる溶媒が限定されてきた。温度応答性高分子の分子設計を見なし、適応できる触媒反応の拡張についても検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ナノ多孔性配位高分子の表面に有機触媒をクリック反応や縮合反応で部分的に修飾したのち、オンデマンド触媒であるこれまで用いてきた有機触媒を担持した刺激応答性高分子の表面に導入する手法の開発について検討を行った。手法はこれまでの同種の材料と同じ手法を用いたが、触媒基を持つ高分子ではうまく反応が進行せず、目的の物質の合成に至っていない。高分子だけではなく、複数の修飾剤によるナノ多孔性配位高分子の多色修飾の検討も行い、低分子であれば、修飾率の制御が可能であることを明らかにした。また温度応答性高分子側にも問題がある可能性があり、新規な温度応答性高分子の探索を行ったところ、混合溶媒を限定することにより、数多くの高分子が温度応答性を示すことを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進:現状では目的の有機触媒と刺激応答性高分子の両方を表面修飾したナノ多孔性配位高分子の合成が未完であり、その合成に傾注する。これまでの手法を見直し、高分子合成に使われるRAFT剤をナノ多孔性配位高分子の表面にまず導入し、そこから重合を開始させる手法により、刺激応答性高分子と有機触媒の両方の導入を検討する。また表面上での構造変化が鍵であるため、複数の反応点を持つ刺激応答性高分子の合成についても検討を行い、表面修飾を検討する。触媒基については、今後課題である種類を増やすことを検討する。特に金属触媒の導入なども検討を行う。新しく発見することができた温度応答性高分子の利用も視野に入れ、触媒の導入を検討し、新しい刺激応答性高分子の合成とナノ多孔性配位高分子への導入を検討する。
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Research Products
(13 results)