2020 Fiscal Year Annual Research Report
Sequence-regulated Polymerization and Continuously Controlled Polymerization using Hybrid Catalysts
Publicly Offered Research
Project Area | Hybrid Catalysis for Enabling Molecular Synthesis on Demand |
Project/Area Number |
20H04798
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 敏文 北海道大学, 工学研究院, 教授 (80291235)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ハイブリッド触媒 / 配列規制重合 / ワンポット合成 / ワンステップ合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、モノマーレベルあるいはブロックレベルで配列制御されたポリマーのハイブリッド触媒による簡便合成を目指して下記の検討を行った。 ①ハイブリッド触媒の固定化:これまでの研究において、酸・塩基ハイブリッド触媒であるカルボン酸塩が各種環状エステルモノマーの開環重合において有用であることを見出している。本年度はカルボン酸塩をより使いやすい形にするため、樹脂への固定化を検討した。カルボキシ化架橋ポリスチレンビーズを各種アルカリ金属水酸化物の水溶液で処理することで、容易にカルボン酸塩固定化触媒を得ることができた。トリメチレンカーボネートの重合に本固定化触媒を適用したところ、固定化していない対応する触媒よりも活性は劣るものの、分子量分布の狭い目的ポリマーを与えることが判明した。今後は本固定化触媒の活性向上とモノマー適用範囲の拡大を目指した検討を行い、最終的には配列制御ポリマーの回収・再利用可能な新規触媒として応用する予定である。 ②ハイブリッド触媒による開環重合:カルボン酸塩がラクチドおよびトリメチレンカーボネートの重合に有用であることを過去の研究で見出しており、本年度はそのモノマー適用範囲の拡大を目指し、エポキシドの開環重合触媒としての応用を検討した。その結果、無溶媒条件下、100℃前後の温度においてリビング的に重合が進行することが判明した。さらに、エポキシドと環状酸無水物の交互共重合も達成可能であることを見出した。 ③ハイブリッド触媒によるセルフスイッチ重合:②の結果を発展させ、エポキシド/環状酸無水物/環状エステルの混合系に対してカルボン酸塩触媒を適用した。これにより、先にエポキシド/環状酸無水物の交互共重合が進行し、環状酸無水物が完全消費された後に環状エステルの重合が進み、ワンポット・ワンステップでブロックポリマーを与えるセルフスイッチ重合系を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
酸・塩基ハイブリッド触媒であるカルボン酸塩が各種環状モノマーの開環重合に有用であることが確認されたほか、複数モノマーの混合物から配列制御されたブロックポリマーを与えるセルフスイッチ重合にも極めて有効であることを見出した。このセルフスイッチ重合系を活用することで極めて複雑な配列を有するマルチブロックポリマーの合成に成功している。以上のことより、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はハイブリッド触媒をより使いやすい形にすべく、固定化触媒への展開を継続する。また、セルフスイッチ重合を活用した有用な高分子材料の合成にも挑戦する。この他、キラルなハイブリッド触媒系を駆使することでモノマーレベル配列とブロックレベル配列に加えて立体規則性を制御したポリマーの構築にも挑む。
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