2020 Fiscal Year Annual Research Report
Concerted catalysis between immobilized active species and its support surface for inert bond activation
Publicly Offered Research
Project Area | Hybrid Catalysis for Enabling Molecular Synthesis on Demand |
Project/Area Number |
20H04804
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
本倉 健 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (90444067)
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Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2022-03-31
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Keywords | 固体触媒 / 固定化触媒 / C-H結合活性化 / 金属錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度の研究ではシリカ表面にIr錯体を固定した触媒を新たに開発し、これが芳香族C-H結合活性化反応に高性能を示す触媒となることを見出した。Ir錯体とシリカ表面をつなぐメチレン鎖の長さが触媒性能に及ぼす影響を詳細に解析し、炭素数1のメチレン鎖を用いると、炭素数4を用いた時と比べて大幅に活性が向上することが分かった。さらに、シリカ表面のSi-OH基の存在による反応加速や、同一表面に第三級アミノ基を固定化することによる活性の向上に関しても有益な知見を得た。さらに、芳香族基質の有する置換基と反応性に関する関連を調査したところ、アミノ基を固定化した触媒ではベンゾニトリル・メチルベンゾエイトの反応が特異的に加速されていることが分かった。FTIR測定等の結果から、共存するアミノ基が極性官能基をもつ基質と相互作用するためと思われる。これらの成果について査読付き学術誌に発表した(ACS Catalysis, 2020, 10, 14552)。また、固体酸触媒と担持金属触媒の触媒粒子間での協奏効果として、粒子間水素移動を発見し、これがアルカンの活性化反応に有効であることを見出した。固体酸表面で活性化されたアルカンから引き抜かれた水素原子が、粒子間を移動することで担持金属触媒に到達し、ここで水素原子の再結合が起こることで水素分子が生成する反応機構を提案した(JACS Au, 2021, 1, 124)。固体表面の特異的な機能を活用した高難度触媒反応の開発に向けて検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
担体表面の官能基と固定化した金属錯体などの活性種との協奏的効果の発現を目指し、シリカ表面にIr錯体を固定した触媒を開発した。この触媒は芳香族C-H結合の活性化反応に活性を示した。シリカ表面に存在しているSi-OH基がIr錯体と協同的に基質分子を活性活かすることで反応が加速されていることを見出した。表面のSi-OH基を除去やすることで活性が低下すること、Ir錯体と担体表面とをつなぐメチレン鎖が短い方が活性が高いことなどからも、金属錯体と無機担体表面との協奏的な効果を発現させるのに成功したと考えられる。さらに、同一固体表面だけでなく、別々の担体表面に存在する活性種間の協奏効果も明らかになった。すなわち、固体酸触媒と担持金属触媒を混合して用いることで、固体酸表面でアルカンから引き抜かれた水素原子が担持金属上へと移動し、再結合によって水素分子となることを見出し、アルカンとベンゼンの脱水素カップリング反応に有効な触媒系となることを報告した。本成果に関して学術論文および学会発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の研究においても引き続き芳香族やアルカンの不活性なC-H結合の活性化を可能とするための触媒および触媒系の開発を実施する。具体的には、複数の金属錯体の共存による更なる協奏効果の増幅や、固体酸および担持金属触媒の構造制御による反応の加速を目指す。また、シリカ表面のSi-OHだけでなく、特異的にアルカンを活性化可能な酸化物を担体として用いることで、これまでの協奏効果とは異なるメカニズムによる反応へと展開し、より高難度な触媒反応の実現を目指す。さらに、C-H結合だけでなくC-O結合等の活性化が可能な固体触媒・固定化触媒の探索を引き続き続けることで、固体触媒に特有な環境や活性種を活用した合成反応の知見を集める。
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