2020 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッド型反応共役触媒の概念に基づく逆方向アルケン熱異性化反応の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Hybrid Catalysis for Enabling Molecular Synthesis on Demand |
Project/Area Number |
20H04805
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
村橋 哲郎 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (40314380)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アルケン / 立体制御 / 反応機構 / 異性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
炭素ー炭素二重結合は、天然物や有機工業製品に広く含まれ、その幾何構造を制御することは有機合成化学における長年の課題となっている。本研究では、遷移金属錯体を利用することで、炭素ー炭素二重結合の新しい立体制御法の開発を目指す。 アルケンの幾何異性体は、通常、E体が熱力学的に安定であり、ひとたびE体アルケンが生じた場合、これをZ体に高収率で変換する手法には大きな制約があり、熱反応条件(暗所下)でE→Z異性化を高選択的に実現する手法の開発が強く求められている。本研究では、ハイブリッド型共役反応の概念を導入して逆方向アルケン熱異性化反応を開発することを目指してて研究を進めている。 初年度では、すでに、我々が開発しているPd-Pd結合活性種を用いることで、アルケンのE→Z異性化反応を開発することを目指して研究を進めた。特に、フリーラジカルであるTEMPOを用いた金属-炭素ホモリシス段階を異性化機構に取り入れて検討を進めた結果、1,4-二置換1,3-ジエンの逆方向E→Z異性化を進行させることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フリーラジカルでを用いた金属-炭素ホモリシス段階を異性化機構に取り入れて、逆方向異性化を進行させることに成功し、光照射を用いないE→Z異性化を論文発表したことから、順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、相対的に反応不活性なモノアルケン類が二核付加反応を起こす条件を探索する検討を進める。誘導基を導入したモノアルケンの二核付加反応についても検討をおこなう。
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