2020 Fiscal Year Annual Research Report
指向性進化工学を駆使したRh連結バイオハイブリッド触媒の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Hybrid Catalysis for Enabling Molecular Synthesis on Demand |
Project/Area Number |
20H04820
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小野田 晃 北海道大学, 地球環境科学研究院, 教授 (60366424)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | バイオハイブリッド触媒 / ロジウム触媒 / 指向性進化工学 / C-H結合活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、多彩な反応性をもつ金属錯体触媒と、精緻かつ多様な反応場を提供するバレル型タンパク質を融合したバイオハイブリッド触媒を構築し、従来にはない位置選択性・官能基選択性・基質選択性を付与した触媒を、指向性進化工学を駆使して開拓する。具体的には、Cp*Rh錯体を連結したバイオハイブリッド触媒に対して、変異導入、Rh錯体の連結、イソキノリン合成の蛍光スクリーニング評価を網羅的に実施して、高活性な触媒を探索に取り組んだ。まず、高活性なRh錯体を目的の部位に高選択的に連結し、その後、Rh錯体を活性化する手法も見出した。即ち、潜在的触媒活性を有するCp*Rh-ジチオホスフェート錯体を開発し、ターゲットタンパク質の目的部位へ選択的に固定化した後に、Cp*Rh錯体を活性中心に有するバイオハイブリッド触媒を構築した。このバイオハイブリッド触媒は、硝酸銀の添加によりジチオホスフェート配位子の解離が進行して、芳香族C-H 結合活性化を経由するオキシムとアルキンの付加環化反応において触媒活性を示した。また、精製されたバイオハイブリッド触媒をスクリーニングに用いるために、マルトース結合タンパク質との融合タンパク質として精製する技術もあわせて開発した。以上の技術を活用して、約4000種のバイオハイブリッド触媒をスクリーニングして、指向性進化工学により、高活性な触媒の探索を実施した。さらに、本触媒を用いて、非対称内部アルキンを基質とする位置選択的なイソキノリン合成を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ロジウム連結バイオハイブリッド触媒の指向性進化工学手法を確立するとともに、新たなタンパク質スカフォールドの利用も進めて、触媒活性の向上に成功しており、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、Cp*Rh錯体を連結したバイオハイブリッド触媒の構築手法と指向性進化工学の技術を活用して、より高活性な触媒への変換を狙う。そこで、用いているタンパク質スキャフォールドであるベターバレル構造のニトロバインディンに追加の構造モチーフを導入したキメラ型タンパク質を検討する。基質の取り込みとCp*Rh錯体周りの反応場のチューニングを容易にするために、ベータシートをつなぐループ部分にヘリックス-ループ-ヘリックスの構造モチーフを融合する。導入位置、導入部のアミノ酸残基の最適な組み合わせを探索する。そのうえで、確立した指向性進化工学の手法を利用して、バイオハイブリッド触媒の高活性化に取り組む。また、得られた変異体については、速度論的な解析も行い、高活性化に寄与するアミノ酸残基の特定とその効果について検証する。
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