2020 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッド触媒系による新規機能性π共役化合物群の高効率合成
Publicly Offered Research
Project Area | Hybrid Catalysis for Enabling Molecular Synthesis on Demand |
Project/Area Number |
20H04821
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
新谷 亮 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (50372561)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | π共役化合物 / ハイブリッド触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
π共役有機化合物は、その光電子的特性から、有機材料の分野等において幅広く応用が期待されているが、既存の合成方法では、アクセス可能な分子骨格に大きな制限がある。申請者は近年、新規反応の開発により、従来法では合成困難な新しいπ共役化合物の効率的合成を達成し、とくに、2つの分子変換反応を連続的に行うハイブリッド型の反応系の開発に成功している。このような背景のもと、本年度における研究では、新しいπ共役分子構築法の有効なハイブリッド触媒系へのさらなる進化を目指し、これまでの成果を踏まえて、主に以下の項目について研究を実施した。 (1) まずは、様々なπ共役ユニットの基本構造となるスチレン部位を有する多置換アルケンの位置および立体選択的な合成法の開発を行った。具体的には、銅触媒とアルカリ金属アルコキシド触媒を共存させることで、非対称な二置換アリールアセチレンへのシリルボロン酸エステルの付加反応が位置およびトランス付加選択的に進行することを見出し、様々なπ共役化合物のビルディングブロックとして有用なケイ素とホウ素を置換基にもつ四置換アルケンの合成に成功した。ここで発現する立体選択性は従来法と異なる相補的なものであり、得られたアルケンからベンゾシロールなどへの効率的な誘導化も行った。 (2) また、新たなπ共役高分子化合物へ効率的にアクセスする方法として、繰返し単位となる架橋型π共役ユニットの構築と高分子鎖の伸長を一挙に行うハイブリッド型プロセス「縫合重合」の確立とその拡張についても取り組んだ。その結果、適切なロジウム触媒存在下、様々なリンカーで連結したジイン、トリイン、テトラインから、従来法では合成できない新しいπ共役高分子が得られることを見出し、その電子的・光学的性質についての予備的な知見を得ることにも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
取り組んだ反応の開発が比較的良好に進んだため、概ね順調に研究を遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の進捗を踏まえ、2021年度は、これまで開発してきた反応系をもとに、様々な新しいπ共役化合物およびπ共役高分子の合成を行い、得られる化合物群の物性評価についても取り組む予定である。
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Research Products
(8 results)