2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Hybrid catalyst system based on radical chemistry and challenge for asymmetric tertiary alkylations
Publicly Offered Research
Project Area | Hybrid Catalysis for Enabling Molecular Synthesis on Demand |
Project/Area Number |
20H04823
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
西形 孝司 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (90584227)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ハイブリッド触媒系 / アルキル化反応 / ラジカル反応 / カップリング / 付加反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、1)「ラジカル種」と「有機金属、エナミン・エノラートなどの有機種又はイオン種」の2つの活性種を効率的に発生できるハイブリッド機能触媒系反応の開発と、2)片側にラジカル発生のための一電子移動可能な金属触媒または光触媒部位を導入し、反対側には有機種・イオン種・有機金属種の生成・配位を可能にするアミン、ルイス酸部位や多座配位子部位を導入した配位子の合成と機能を検証した。順に述べる。 1)ピロリジンと銅/多座アミン触媒存在下、ケトンとアルファブロモカルボニルを第三級アルキル源とする反応開発に取り組んだ。その結果、ケトンのアルファ位第三級アルキル化反応の開発に成功した。この反応を用いると、有機触媒から触媒的に発生したエナミンを、銅触媒から同様に触媒的に発生させたアルキルラジカルを反応させることができる。これにより第四級炭素を含む1,4-ジカルボニル化合物の合成に成功した。この系では、有機触媒としてピロリジンを用いているが、その代わりにプロリン系誘導体を各種用い、不斉第四級炭素合成に取り組んだがこちらはうまくいかなかった。 2)基質への配位とラジカル発生を可能にする配位子の合成に取り組んだ。基質配位部位としてウレア、ラジカル発生部位として銅が配位可能な多座アミン(2-ピリジルメチルアミノ基)をハイブリッドした触媒を合成した。これを用いて、低反応性オレフィンへの第三級アルキル化反応を行ったが、現在までにうまくいっていない。引き続き、活性のある構造を試行錯誤しながら見つけ出していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「ラジカル種」と「有機金属、エナミン・エノラートなどの有機種又はイオン種」の2つの活性種を効率的に発生できるハイブリッド機能触媒系反応の開発において、ピロリジンと銅/多座アミン触媒存在下、ケトンとアルファブロモカルボニルを第三級アルキル源とする反応開発に成功した。反応機構も解明し、ピロリジンから生じるエナミンとアルファブロモカルボニルから生じるアルキルラジカル種が活性種であることを証明した。また、これにより様々な第四級炭素を含む1,4-ジカルボニル化合物に成功した。不斉反応には成功していないものの、本成果をまとめAngewandte Chemie誌に掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ラジカル種と他の活性種を反応させるためのハイブリッド触媒系開発に、引き続き取り組んでいく。具体的には、銅触媒と光触媒をハイブリッドした触媒系によりシス型ラジカル的アルキルヘックタイプ反応の開発や、アルファブロモカルボニルのC-Br開裂反応の代わりにC-O開裂やC-C開裂を利用したラジカル発生法の検討を行いつつ、ハロゲン代替アルキル化反応に取り組む。そして、研究の進捗を見ながら適宜不斉触媒と組み合わせることで不斉第四級炭素合成に挑戦していく。 また、基質への配位とラジカル発生を可能にする配位子の合成に関しては、基質配位部位をウレア、チオウレア、そして、アンモニウムなどを用い、そして、ラジカル発生部位としては、銅触媒のほかに光触媒も検討していく。組みわせる基質は、ハイブリッド配位子が有利に配位できるアミドを用い、その近傍のオレフィンに対するラジカル付加反応を中心に検討を行っていく。
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