2020 Fiscal Year Annual Research Report
Exploration of photo-induced domino reactions based on cooperation of metal catalyst and photon
Publicly Offered Research
Project Area | Hybrid Catalysis for Enabling Molecular Synthesis on Demand |
Project/Area Number |
20H04827
|
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
草間 博之 学習院大学, 理学部, 教授 (30242100)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 光反応 / 金属触媒 / ラジカル / カルベン / フォトレドックス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「光エネルギーを活用した高反応性化学種の発生と反応制御に基づく新規分子変換手法の開発」を主題として研究を展開し、このコンセプトのもと、「連続的な炭素―炭素結合形成に基づく複雑分子の高効率合成を可能とする方法論の開拓」を目指した検討を実施した。具体的には、申請者がこれまで開発してきたケイ素置換ケトン、イミンの光反応を基礎とする研究展開を行い、本年度は主に1)光触媒と金属の協働作用による高効率・高選択的反応系の構築、2)二種の光触媒がそれぞれ異なる基質の酸化還元を担う反応系の構築、について検討を行った。 その結果、1)については、光と銅触媒の作用に基づく、アシルシランとN-アルキルイミンからの新規なアゾメチンイリド発生手法の開拓に成功するとともに、その反応機構について理論計算に基づく検証を行った。本手法は光のみ、あるいは金属触媒のみでは全く進行せず、両者が協働的に作用することではじめて進行する、という特徴を持つ。このコンセプトはさらに多様な有機分子との反応に展開できるものと考えられる。 2)については、同一炭素上に2つのシリル基をもつイミンから連続的に炭素ラジカルを生成させるハイブリッド触媒系の創出に成功した。すなわち、比較的酸化力の低い光触媒を用いてビスシリルイミンを酸化すると、シリル置換イミドイルラジカルが生成し、電子不足アルケンと効率良くカップリングする。これにより得られる生成物はモノシリルイミンであり、引き続き、より酸化力の高い光触媒を添加して反応を行うと、再びイミドイルラジカルを発生させることができ別の電子アルケンとのカップリングが実現できる。つまり、ビスシリルイミン由来の同一炭素上に二度、ラジカル種を連続的に発生させることが可能となり、類例の無いドミノ型炭素ー炭素結合形成を実現した。この方法論はさらに多様なラジカル捕捉剤との反応に展開可能と考えれる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で検討予定の課題として、1)光触媒と金属の協働作用による高効率・高選択的反応系の構築、2)二種の光触媒がそれぞれ異なる基質の酸化還元を担う反応系の構築、3)一つの反応系内で酸化還元と励起エネルギー移動を逐次的に実現するハイブリッド触媒系の構築、の3つを掲げている。本年度はそのうち、研究実績の概要欄に記した1)、2)の課題に関する検討に注力した結果、期待した成果を挙げることができており、これらの知見を元に更なる研究展開を図ることで様々な新規分子変換手法が開発可能と考える。また、課題3)についても基礎的検討は実施しており、今後の発展が期待される知見を得ることができている。以上より、本研究は概ね順調に進展していると判断している。
|
Strategy for Future Research Activity |
実績概要に記した3つの課題のうち、1)については満足する手法の確立ができているので、今後はこの課題2)に関する応用的研究を展開しつつ、課題3)「一つの反応系内で酸化還元と励起エネルギー移動を逐次的に実現するハイブリッド触媒系の構築」に関する本格的な検討を実施し、独創的な分子変換実現のための新規方法論の開拓を目指す計画である。これらの検討を通じて、本研究課題の主題である「光エネルギーを活用した高反応性化学種の発生と反応制御に基づく新規分子変換手法の開発」を推進していく計画である。
|
Research Products
(4 results)