2020 Fiscal Year Annual Research Report
Innovation in molecular catalysis based on understanding transition state
Publicly Offered Research
Project Area | Hybrid Catalysis for Enabling Molecular Synthesis on Demand |
Project/Area Number |
20H04828
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
山中 正浩 立教大学, 理学部, 教授 (60343167)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 分子触媒設計 / DFT計算 / 遷移状態 / 不斉合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の高反応性・高選択性に加えて、多様性・複雑性を指向した分子合成オンデマンドを達成するためには、触媒設計に対して「合理的な飛躍(ホッピング)」が求められる。本研究では、異種相互作用の協働(ハイブリッド型反応制御)の観点から、ターゲットとする触媒反応の遷移状態を詳細に解析し、実験研究と緊密に連携しながら触媒骨格を探索・進化させ、分子触媒イノベーションを実現する。本年度は、遷移金属触媒反応として、Ir触媒によるチオアニソール類のオルト位選択的C-Hホウ素化反応、有機分子触媒反応として、グアニジン‐ウレア触媒による二置換ナフトキノン類の不斉エポキシ化反応、ホスフィン触媒によるアルキンのカルボフルオロ化反応を中心に検討を行った。前者については、基質とビピリジン配位子の間に形成される水素結合とCH/π相互作用による安定化が位置選択性の発現要因であることを解明し、さらなる反応開発のための触媒設計指針を得た。後者については、従前の分子触媒を用いた遷移状態の詳細な解析から新規な触媒構造を設計し、高い反応性・エナンチオ選択性を達成する新規不斉触媒を開発するとともに、その要因が水素結合とNH/π相互作用の協働作用によることを解明した。また、五配位ホスホラン中間体を経由する反応機構を解明した。このように、計算研究と実験研究が密に連携して互いの研究成果をフィードバックすることで、さらに先鋭化した分子触媒の知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
異種相互作用の協働(ハイブリッド型反応制御)の観点から遷移状態を詳細に解析し、チオアニソール類のオルト位選択的C-Hホウ素化反応や二置換ナフトキノン類の不斉エポキシ化反応を中心に検討を行い、異種相互作用の協働作用による立体制御機構を解明した。さらに、得られた知見を実験研究にフィードバックすることで、より進化した触媒開発を実現することができた。今後は、領域内班員との共同研究をより一層推進し、遷移状態解析に基づく分子触媒イノベーションを確立していく。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、一定程度確立した「遷移状態解析に基づく分子触媒イノベーション」を確立していく。特に、領域内班員との共同研究として進めている銅カルベン錯体とイミンの反応やアリ-ルホスフィンの位置選択的CHボリル化反応について計算研究を推進し、実験研究に成果・知見をフィードバックすることで、分子触媒のさらなる先鋭化やハイブリット化に展開する。関連研究として、キラルアミン触媒を用いたアルデヒドと不飽和ケチミンの不斉共役付加反応における位置・エナンチオ選択性発現の要因やグアニジン‐ビスチオウレア触媒を用いたセサモールとイミンの不斉Friedel-Crafts反応におけるエントロピー支配因子やエナンチオ選択性発現の要因についても明らかにする。また研究代表者がBox-Cu(II)触媒の遷移状態解析に基づいて独自に開発したビスアミノチアゾリン配位子を用いたα-ケトエステルに対する不斉ビニロガスアルドール反応、不斉1,3-双極子付加環化反応についても検討を進める。
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Research Products
(6 results)