2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of the method for determination of kinome activity by monitoring regulatory site-containing peptides
Publicly Offered Research
Project Area | Transomic Analysis of Metabolic Adaptation |
Project/Area Number |
20H04845
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 直幸 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (50545704)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | プロテオミクス / シグナル伝達 / タンパク質キナーゼ / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質リン酸化酵素(プロテインキナーゼ)の活性制御部位について、その部位を含むリン酸化ペプチドを高感度に検出する手法を開発し、代謝制御における各キナーゼ活性を定量的に評価することが本課題の研究目的である。本年度の研究では、キナーゼ活性計測を行うための人工基質ペプチドの再設計、およびリン酸化ペプチド濃縮法の改良を行った。 ヒトキナーゼ組換え体を用いて取得したin vitroキナーゼ-基質間情報に基づき、任意のペプチド配列について、各キナーゼにどの程度リン酸化されうるかをin silicoで予測した。各キナーゼの活性計測について最適な基質ペプチド、すなわち標的となるキナーゼ、あるいはファミリーに高選択的かつ高感度にリン酸化される基質ペプチドを設計した。選択性の評価にあたって、これまでの研究で用いたGini係数のほか、異なる指標も用い、それぞれ設計を行った。合成した基質ペプチドライブラリの感度と選択性の評価をin vitro試験により行った結果、120種のキナーゼについて高選択的かつ高感度な人工基質ペプチドを得ることに成功した。 リン酸化チロシンの大規模解析を目的として、様々な金属イオンを固定した配位子交換クロマトグラフィーによるリン酸化ペプチド濃縮におけるリン酸化チロシン選択性の評価を合成リン酸化ペプチドおよび細胞破砕物を試料に用いて行った。その結果、金属イオンの種類により、セリン/スレオニン/チロシン選択性が大きく異なることが示された。Cu2+イオンを固定したカラムが最も高いリン酸化チロシン選択性を示し、他の金属を用いた場合に比べ8倍以上の濃縮効果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画である、①人工基質ペプチドの再設計、②リン酸化ペプチド濃縮法の改良については、それぞれ改善の余地が残っているものの、おおむね目標は達成できたと考える。 セリン/スレオニンキナーゼの人工基質ペプチドの再設計については、これまでの研究よりも多くのキナーゼを対象として高選択的・高感度基質ペプチドを設計することができた。チロシンキナーゼについては十分な選択性を有する基質ペプチドが得られていないが、基質ライブラリのリン酸化プロファイルを解析することで、各キナーゼの活性評価を行うことを検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従い、摂動を与えた細胞に対して、人工基質ペプチドを用いた活性計測および改良したリン酸化ペプチド濃縮を用いたリン酸化プロテオミクスを実施し、キナーゼ活性制御部位の同定を行う。同定された活性制御部位のリン酸化修飾を定量的に評価することでキノーム活性を高感度に計測する手法の開発を進める。活性制御部位の同定を行うためにはキナーゼ自身のリン酸化を大規模に同定する必要があるが十分な情報が得られないことが予想されるため、キナーゼ選択的濃縮法とリン酸化ペプチド濃縮法を併用することを計画している。
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Research Products
(5 results)