2021 Fiscal Year Annual Research Report
腸内感染と運動性の揺らぎが導く細菌病原性分泌装置への進化の実験的解明
Publicly Offered Research
Project Area | Evolutionary theory for constrained and directional diversities |
Project/Area Number |
20H04864
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
寺島 浩行 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (60791788)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | べん毛 / III型分泌装置 / 病原性 / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
細菌は、運動器官として細菌べん毛を持っている。また、一部の腸管病原性細菌は、病原性タンパク質注射装置としてIII型分泌装置を持っている。両者は、起源を同一とする細胞小器官であると考えられているが、どのような遺伝的な変化、表現型の変化を経て進化したのかよくわかっていない。本研究では、III型分泌装置を欠損し病原性が減弱したネズミチフス菌をマウスへ継続的に摂取・感染させ、その中から腸内に定着する変異株や病原性の回復する変異体を取得する。そして、病原性が生まれる仕組みと、べん毛からIII型分泌装置への進化を駆動する遺伝的な変化を明らかにすることを目指す。 まず、III型分泌装置を構成する遺伝子を欠損させ、テトラサイクリン耐性遺伝子を耐性マーカーとして組み込みんだ。マウスへの継続的な感染実験をおこない、感染後41日の糞便からネズミチフス菌を単離した。一部の株を次世代シーケンサーでリシーケンスした。その結果、10株中5株(S1、S2、S4、S6、S7)で変異が生じていた。S2、S6、S7ではアスコルビン酸代謝遺伝子群の推定調節領域に変異が生じていた。それに加えてS7株では、イノシトール代謝遺伝子群の推定調節領域に変異が生じていた。S4株は、酸化ストレスを感知する走化性受容体であるMcpCをコードする遺伝子にナンセンス変異が生じていた。S1株は、4-ヒドロキシ安息香酸トランスポーターをコードすると思われる遺伝子にミスセンス変異が生じていた。変異体の運動能を調べた結果、S4株では運動能が低下したが、他の変異体は特に影響されなかった。アスコルビン酸の添加によって生育速度は変化しなかった。次に、病原性が回復するような変異体を取得することを目指し、変異の発生頻度を高めるため、III型分泌装置欠失株からさらにミスマッチ修復酵素mutS遺伝子を欠損させた。現在も継続的な感染実験を続けている。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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