2021 Fiscal Year Annual Research Report
仙椎-後肢ユニットの形態の制約と個体間の位置のゆらぎを生み出す分子機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Evolutionary theory for constrained and directional diversities |
Project/Area Number |
20H04867
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 孝幸 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (40451629)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 揺らぎ / 遺伝子発現 / エンハンサー / 骨格 / パターン / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の研究成果よりより、仙椎の位置決定に関与するHox11遺伝子群の発現には、TGF-βスーパーファミリーの分泌因子GDF11が必要であることが明らかとなった。そこで本研究では、 培養細胞系を用いてGDF11の濃度と時間のどの働きがHox11遺伝子群の発現に重要であるのかを調べた。マウスのES細胞を脊椎骨の前駆組織である前体節中胚葉の細胞に分化誘導し、その細胞に様々な濃度のGDF11タンパク質、及びに作用時間を変化させてHoxa11, Hoxc11, Hoxd11の発現量をRT-qPCRを用いて調べた。その結果、Hox11遺伝子群の発現は濃度と時間依存的に発現が上昇することが分かった。これらのことから、生体内においても前体節中胚葉の後端に発現するGDF11タンパク質の濃度と作用時間に依存してHox11遺伝子群の発現が誘導されている可能性が示唆された。 GDF11の作用する濃度と時間が変化することにより体の前後軸に沿った仙椎の位置がゆらぐかどうかを直接調べるために、Gdf11のエンハンサー候補領域の1つと、エンハンサー候補領域の3つを同時に欠損させた標的遺伝子破壊マウスを作成した。その結果、1つのエンハンサー候補領域を欠損させた胚より、3つ同時に欠損させた胚の方が仙椎の位置がより体の後方にシフトすることが分かった。この結果より、GDF11の作用を減弱させるとその濃度と時間に依存して実際に仙椎の位置が変化することが分かった。これらの結果より個体間においてGDF11の作用する濃度と時間が少し異なることが結果として個体間の仙椎の位置の違いを生み出している可能性が強く示唆された。これが仙椎の位置が個体間で揺らぐメカニズムの実体であることが強く示唆された。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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