2021 Fiscal Year Annual Research Report
実験生態系の摂動と継代による生態系の揺らぎ応答関係の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Evolutionary theory for constrained and directional diversities |
Project/Area Number |
20H04868
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
細田 一史 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 客員研究員 (30515565)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 揺らぎ応答理論 / 実験生態系 / 微生物 / 進化実験 / 摂動実験 / 人工生態系 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物の階層において内部構造制約を表現する「揺らぎ応答理論」が生態系レベルにも適用可能なら、生物の上下の階層をまたぐ進化の理解が飛躍的に進歩する。本研究では微生物による実験生態系を用いて生態系の揺らぎ応答関係を解明する。 具体的には下記5項目を行った。(1)安定かつ多様な実験生態系の構築:顕微鏡観察により系を閉じたまま全生物種を識別できるモデル生態系として、12種から開始して、生産者・分解者・消費者を含む3~5種生物が半年間安定に共存する系を構築した。また機器自動化と機械学習により並行して1万個程度の生態系を実験できるハイスループットな系を構築した。(2)温度変化を加える(摂動実験):系への外力として温度変化を与え生態系の状態ゆらぎと比較した。結果、揺らぎ応答理論に従うものとそうでないものが観察された。(3)長期変化の計測(進化実験):半年程度の継代培養を行った。摂動実験同様に、ゆらぎ応答理論に従うものとそうでないものが観測された。(4)揺らぎ応答関係の解析:上記の実験結果を説明できる、生態群集動態の数理モデルを作成し、ゆらぎ応答関係の一般化を行った。(5)生態系内の生物の進化の解析:進化実験での培養から様々な生物種を単離凍結し、祖先株と比較した。大腸菌とシアノバクテリアにおいて、表現型が優位に変化した株が発見された。これは生態系の下の階層の変化であり、今後、階層をまたいだ解析にも使用できる。 中でも最も大きな成果の一つとして、(1)の実験生態系の構築があげられる。特に、生命の階層では、例えば細胞、個体、生態系などがあげられるが、この中でも生態系には他と比較して、再現性がありスループットの高いモデル実験系が無かったため、本成果でこれが構築できたことにより、進化生態学に革命的な影響を及ぼすことが考えられる。期間中には論文報告が間に合わなかったが、今後はこれらの成果を報告していく。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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