2020 Fiscal Year Annual Research Report
発現量揺らぎ-適応系により探索する発現変動の適応-進化への影響
Publicly Offered Research
Project Area | Evolutionary theory for constrained and directional diversities |
Project/Area Number |
20H04870
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
守屋 央朗 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (60500808)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 酵母 / 過剰発現 / ストレス環境 / 適応進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
背景と目的: 細胞内のタンパク質には、発現量の変動が適応度に強い影響を与える(強い制約を受けている)ものと、発現量を多少変動させても適応度に影響を与えない(制約を受けていない)ものがある。私たちは、出芽酵母(S. cerevisiae)のほとんどの種類のタンパク質について、それぞれの発現量がどれくらい制約を受けているのかを、独自の発現量揺らぎ-適応系(gTOW法)により調べてきた。その結果、大半のタンパク質の発現量は制約を受けていない一方、2%程度のタンパク質の発現量のみが強い制約を受けている事を明らかにした。本研究では、発現量揺らぎ-適応をハイスループット化させた実験系(ADOPT法)により、課題1:発現量の制約は環境により変わるのか、課題2:発現量揺らぎは適応-進化に寄与するのか、課題3:発現変動による適応はどのようなメカニズムにより達成されるのかを追求する。
研究実績: 本年度はADOPT法により高塩ストレスで適応的な遺伝子群について調査した。その結果、高塩ストレスに関してカルシウム応答性遺伝子群の過剰が適応的になること、それ以外に新興遺伝子の過剰が適応的になることが見いだされた。これらの結果から、(過剰による)適応は、環境要因の補完、および新規メカニズムの外挿により達成できることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的にあげたADPOT系により、過剰により環境ストレスに適応的になる遺伝子群の取得、およびその背景メカニズムの解明は順調に進んでいる。さらに、過剰による適応の一般的な原理も明らかになりつつあることから、本研究はおおむね順調に伸展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに複数の環境ストレスで適応的な遺伝子の取得をすすめるとともに、すでに取得されている遺伝子群がどのような原理により適応性を発揮しているかの調査を進める。
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