2020 Fiscal Year Annual Research Report
De novo formation and conversion of apical meristem stem cell niche during shoot regeration and their regulatory mechanisms
Publicly Offered Research
Project Area | Principles of pluripotent stem cells underlying plant vitality |
Project/Area Number |
20H04881
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉山 宗隆 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (50202130)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シロイヌナズナ / トレニア / 幹細胞 / シュート頂分裂組織 / シュート再生 / 内生IAA / TBP関連因子 / トランスクリプトーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、植物幹細胞の新生と転換のメカニズムに関し、高濃度の2,4-Dをオーキシンとして含むカルス誘導培地(CIM)でシロイヌナズナの胚軸断片を培養した後、サイトカイニンの2iPを多く含むシュート誘導培地(SIM)に移植して不定芽のシュート頂分裂組織(SAM)を形成させる、2段階式のシュート再生系において、内生IAAに着目した解析とTBP関連因子のBTAF1に着目した解析を行うとともに、トレニアの茎断片をサイトカイニンのBAPを含む培地で培養し、表皮から不定芽SAMを誘導する、直接シュート再生系を用いて、細胞学的解析とトランスクリプトーム解析を行っている。2020年度には、それぞれの解析で次のような成果が得られた。 IAA生合成阻害剤や極性輸送阻害剤について、2段階シュート再生系で不定芽と不定根の形成に対する影響を広く再検討し、RAM型幹細胞新生時に内生IAAがSAM型への転換能を抑え、RAM型に固定するように作用することを確認した。 rgd3は、BTAF1をコードする遺伝子に変異を有する、温度感受性変異体である。すでにSIMで培養したrgd3外植片について大まかなRNA-seqデータを得ているが、これを踏まえて遺伝子発現変動をより詳しく調べるために、新たなRNA-seq解析用の試料を調製した。変異原処理を施したrgd3の後代から選抜した抑圧変異体候補株は、前年度に引き続き戻し交雑による遺伝的純化を進めた。 トレニアの茎断片培養系では、培養開始直後に、サイトカイニンの有無によらず、大規模な遺伝子発現プロフィールの変化が起き、茎の特徴が失われ、複数の器官・部位の特徴が混在するようになること、培養開始後1日目以降、サイトカイニンに依存してリボソーム生合成関連遺伝子等の発現上昇が起き、これと関連して核小体の著しい発達が見られることなどが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症拡大防止のために一時研究活動が制限されたこと、授業のオンライン化やカリキュラムの大幅変更への対応に時間を要したこと、海外の研究協力者との共同実験が往来の制約のために実施できなかったことなどが、研究の進行に少なからず影響した。rgd3抑圧変異体に関しては、多数の候補株が得られた結果、遺伝的純化に手間取っている。
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Strategy for Future Research Activity |
シロイヌナズナの2段階シュート再生系では、CIM培養時の遺伝子発現プロフィールの変動とRAM関連遺伝子の空間的発現パターンに対するIAA生合成阻害剤や極性輸送阻害剤の影響を調べることで、RAM型幹細胞・幹細胞ニッチの新生と動態の制御における内生IAAのはたらきの詳細を追究する。また、SIM移植後に起きるRAM型からSAM型への幹細胞・幹細胞ニッチの転換については、rgd3変異体を用いたトランスクリプトーム解析とrgd3抑圧変異体の責任遺伝子同定をもとに、BTAF1分子ネットワークとの関わりの中で追究する。これらの解析により、RAM型幹細胞・幹細胞ニッチを経て、SAM型幹細胞・幹細胞ニッチが確立するという、2段階シュート再生の基本経路に関し、分子機構の一端が明らかになると期待される。 トレニアの直接シュート再生系では、トランスクリプトームの分析結果に基づいて、細胞リプログラミングからSAM型幹細胞・幹細胞ニッチの新生に至る過程で重要な役割を果たしていると思われる遺伝子を選び、それらの発現パターンと機能の解析を行う。また、シロイヌナズナの各種培養系との比較から、植物種や培養系によらず共通する分子経路と、トレニアの直接シュート再生系に特有の分子経路を推測し、幹細胞新生過程の普遍性と多様性の理解につなげる。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Temperature-dependent fasciation mutants provide a link between mitochondrial RNA processing and lateral root morphogenesis.2021
Author(s)
Kurataka Otsuka*, Akihito Mamiya*, Mineko Konishi, Mamoru Nozaki, Atsuko Kinoshita, Hiroaki Tamaki, Masaki Arita, Masato Saito, Kayoko Yamamoto, Takushi Hachiya, Ko Noguchi, Takashi Ueda, Yusuke Yagi, Takehito Kobayashi, Takahiro Nakamura, Yasushi Sato, Takashi Hirayama, Munetaka Sugiyama (*equally contributed)
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Journal Title
eLife
Volume: 10
Pages: e61611
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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