2020 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体上の分泌ゾーンERESの局在決定機構
Publicly Offered Research
Project Area | Toward an integrative understanding of functional zones in organelles |
Project/Area Number |
20H04897
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
齋藤 康太 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (60549632)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 分泌 |
Outline of Annual Research Achievements |
「ERES (ER exit site)」は哺乳細胞1細胞あたり数百存在する小胞体上の分泌小胞形成「ゾーン」である。ERESにおける小胞の形成機構はよく解析されているが、ERESそのものの形成制御機構は不明な点が多い。ERESは外部環境の変化によって数・大きさが変化するが、分子機構の全貌は未解明である 。また個々のERES間に機能的差異があるかどうかもよくわかっていない。 これまでに研究代表者は、ERESの形成に重要なタンパク質としてTANGO1を同定した。すなわちTANGO1はERES因子の足場タンパク質であるSec16と直接結合することによって、ERESの形成を促すことを明らかにした。さらにTANGO1が細胞分裂期にリン酸化修飾を受けることによって、Sec16との結合が減弱し、ERESが崩壊すること、また細胞分裂が終了するとともに、TANGO1が脱リン酸化されることで、TANGO1とSec16の結合が回復し、これによってERESが再形成されることを明らかにした。 一方で、研究代表者は、ERESの細胞内での局在が細胞環境のpHによって大きく異なることを見出している。すなわち、酸性環境下においてはERESは細胞質全体に散らばって存在するが、塩基性環境下ではゴルジ体近傍に集積して存在する。しかしながら、その詳細なメカニズムは不明であった。 本研究において研究代表者は、ERESのpH変化による細胞内局在の変化が、短時間に可逆的に起こる現象であり、タンパク質の発現等を経ずに起こる現象であること、また微小管に依存して起こる現象であることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ERESの細胞内での局在がpHによって変化する現象は可逆的であること、また微小管依存的であることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
ERESのpH変化による細胞内局在の変化に必要なERES構成因子を同定する
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