2020 Fiscal Year Annual Research Report
MITOLによるMAM形成の制御機構と生理機能
Publicly Offered Research
Project Area | Toward an integrative understanding of functional zones in organelles |
Project/Area Number |
20H04911
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
柳 茂 学習院大学, 理学部, 教授 (60252003)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / ユビキチンリガーゼ / マイトファジー / パーキンソン病 / 小胞体 |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちは、ミトコンドリアユビキチンリガーゼMITOLがパーキンソン病原因遺伝子産物Parkinを特異的にユビキチン化して分解を誘導することを見出した。 この知見により、現在パーキンソン病の病態メカニズムの一部として世界中で支持される「損傷ミトコンドリアの蓄積による病態発症モデル」に加え、新たに「パーキンソン病原因遺伝子産物Parkinの過剰蓄積による病態発症モデル」を提唱した(Shiiba et al., EMBO Rep 2021)。実際に今回提唱されたモデルに一致して、パーキンソン病患者脳でParkinが過剰に蓄積する報告が多数ある。とくに孤発性パーキンソン病患者脳において、パーキンの過剰活性化の可能性が報告されているので、孤発性パーキンソン病に対してMITOLを標的とした新たな治療戦略が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
私たちは、MITOLがパーキンソン病原因遺伝子産物Parkinを特異的にユビキチン化して分解を誘導することを世界で初めて報告した(Shiiba et al., EMBO Rep 2021)。 この知見は、パーキンソン病の病態理解においてParkinの過剰蓄積による毒性の可能性を示唆しており、今後の治療開発に新たな方向性を示したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究において、パーキンによるミトコンドリア膜電位の低下した不良ミトコンドリアをマイトファジーによって排除する際に、MITOLがミトコンドリアから小胞体へと移動する興味深い現象が観察された。 膜タンパク質がオルガネラ間を移行する新たなオルガネラゾーンの存在を示唆しており、今後のさらなる解析が必要である。
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