2020 Fiscal Year Annual Research Report
イノシトールリン脂質によるステロイドホルモン産生酵素の制御と性スペクトラム
Publicly Offered Research
Project Area | Spectrum of the Sex: a continuity of phenotypes between female and male |
Project/Area Number |
20H04920
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
佐々木 純子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (30333371)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 性スペクトラム / 細胞内シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々が作製したイノシトールリン脂質(PIPs)代謝酵素欠損マウスは、卵巣の顆粒膜細胞層にセルトリ細胞様細胞が出現し、卵巣が性転換する。その分子機構として、ホスファチジルイノシトール3,4,5-三リン酸(PIP3)が顆粒膜細胞内に異常蓄積すること、及び特定のPIP3分子種が核内受容体を介してセルトリ細胞様細胞出現を引き起こすことを見出している。しかしながらこのシグナル伝達が、生理的条件下(正常のセルトリ細胞)においても機能するのか明らかでない。そこで本研究では、顆粒膜細胞とセルトリ細胞におけるPIPs動態の比較により、生理的条件下におけるPIP3-核内受容体経路の寄与を解明する。 今年度は不死化セルトリ細胞の樹立を試みた(不死化顆粒膜細胞は既に作製済み)。胎生16.5日にSox9-EGFPノックインマウスからセルソーターを用いてEGFP陽性細胞を分離し、レンチウイルスを用いてSV40T抗原を1回導入した(不死化顆粒膜細胞作製と同様の方法)。その結果、数回の継代は可能であったが長期培養は叶わなかった。そこでSV40T抗原またはドミナントネガティブp53変異体を複数回導入したところ、長期培養可能な不死化セルトリ細胞を得ることができた。今後はこれら2種の不死化細胞を用いて、種々の条件下における細胞内PIPs動態を解析する。 本研究ではさらに、PIPs代謝酵素欠損雌マウスの表現型の一つであるホルモン産生酵素の上昇機構について解析する。この現象には、上記の核内受容体とは別経路の関与が予備検討により示唆されている。本年度は蛍光標識ホルモン産生酵素ノックイン細胞の作製を試みたが、今のところ目的の細胞は得られていない。そこで我々が開発した手法を用いて、PIP3結合分子を探索したところ、複数の転写因子を得ることができた。今後はこの中からホルモン産生酵素の上昇に関与する因子を同定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長期培養可能な不死化セルトリ細胞の樹立に成功した。 独自の手法を用いて、PIP3結合転写因子を複数見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
独自に樹立した不死化顆粒膜細胞および不死化セルトリ細胞を用いて、細胞内PIPs動態を比較解析する。 ホルモン産生酵素の発現上昇に関与する転写因子を同定する。
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Research Products
(6 results)