2020 Fiscal Year Annual Research Report
二次性徴の性スペクトラム「アンドロゲンによる組織特異性とサイズ調節の分子機構」
Publicly Offered Research
Project Area | Spectrum of the Sex: a continuity of phenotypes between female and male |
Project/Area Number |
20H04928
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
荻野 由紀子 九州大学, 農学研究院, 准教授 (00404343)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アンドロゲン / メダカ / 二次性徴 / クロマチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、二次性徴発現の初段階に形成される未分化間葉細胞からなる司令塔様細胞集団に注目し、この細胞集団の成立と維持を導く遺伝発現、クロマチン動態から、二次性徴を特徴付けるアンドロゲン受容体AR の組織特異的な機能発現の分子機構の解明を進めるものである。本年度は、メダカ臀鰭における司令塔様細胞様集団の成立と維持を導く、AR 下流標的遺伝子、 ARと相互作用するパイオニアファクター候補遺伝子の探索をRNA-seqとATAC-seqの連鎖解析から進めた。オープンクロマチン領域にエンリッチしているシス配列から、これまでに報告のあるFox familyに加え、ETS family, bZIP family, Hox familyなどがパイオニアファクター候補因子として抽出された。RNA-seq解析により、メダカ臀鰭における組織特異的な発現様式を解析し、上記パイオニアファクター候補因子の中から、二次性徴が顕著な領域で構成的に発現する因子をパイオニアファクター候補遺伝子としてスクリーニングした。この候補遺伝子は、アンドロゲン投与によりさらに発現誘導されることから、パイオニアファクターとしての役割と共に、AR 下流標的遺伝子としても機能している可能性が考えられた。現在、表現型解析のためにCrispr-Cas9によるノックアウトメダカを作出しているところである。一方で、アンドロゲン投与によるクロマチン動態変動は顕著ではないことがATAC-seqから明らかとなり、ゲノムワイドなAR結合領域の同定が、ARと相互作用するパイオニアファクターの同定に必須であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AR 下流標的遺伝子、 ARと相互作用するパイオニアファクター候補遺伝子の探索をRNA-seqとATAC-seqの連鎖解析から進め、有力なパイオニアファクター候補因子を見出すことができたため、おおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
メダカ臀鰭では、アンドロゲン投与、あるいは組織間でクロマチン動態変動は顕著ではないことがATAC-seqから明らかとなり、ゲノムワイドなAR結合領域の同定が、ARと相互作用するパイオニアファクターの同定に必須である。そこで、既に構築したAR-2xFlag-mCLover3ノックインメダカ(ARがFLAGとの融合遺伝子として、mClover3がARのプロモーターの制御下で別フレームで発現する)を用いたChIP-seq, Cut&Runにより、ゲノム上のAR結合領域を網羅的に同定する。ゲノム上のAR結合領域をRNA-seqとATAC-seqと連鎖解析することで、パイオニアファクター候補因子群をスクリーニングする。特に、これまでの解析から注目している有力なパイオニアファクター候補遺伝子の結合配列が、AR結合配列と連鎖しているか確認し、両者の下流標的遺伝子を同定するとともに、in vitroにおける免疫沈降、レポーターアッセイなどにより相互作用を解析する。また、新たに二次性徴のより顕著なインドネシアメダカを用い、日本メダカとの遺伝子発現様式の比較解析により、サイズ調節の分子機構の解明を目指す。
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Research Products
(1 results)