2020 Fiscal Year Annual Research Report
毛包幹細胞の機能変容における関連炎症細胞社会ネットワークの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Preventive medicine through inflammation cellular sociology |
Project/Area Number |
20H04941
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
樗木 俊聡 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (50233200)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 毛包幹細胞 / マクロファージ / IFNシグナル / 脱毛 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、慢性IFNシグナル依存性の脱毛及び毛の再生不全を示すIFN regulatory factor 2 (Irf2)-/-マウスを用いて、慢性炎症下で誘導される脱毛メカニズムの詳細を、免疫細胞と毛包幹細胞(HFSC)の相互作用によるHFSCの機能変容という視点から解明すること、さらに同定された分子を標的としてHFSC機能を維持する基盤技術を提案することを目的とした。 R2年度の研究において以下の成果を得た。1)コントロールマウス及び脱毛を伴うIrf2-/-マウスの皮膚からマクロファージを精製し網羅的遺伝子発現解析を行い、TREM2+ trichophageシグネチャーを指標にGSE解析を行った結果、Irf2-/-マウス皮膚のマクロファージで同シグネチ ャーが亢進しており、特に分子Xがトップにランキングされた。2)コントロールマウス及び脱毛を伴うIrf2-/-マウスのHFSCでも網羅的遺伝子発現解析を行い、網羅的な“リガンド・受容体データベース”(Nat Commun 6, 7866 (2015))を活用して、Irf2-/-マウスの皮膚マクロファージとHFSC間で活性化しているシグナルをランク付けしたところ、分子Y_分子Y受容体(R)シグナルがトップ1に、分子X_分子XRシグナルがトップ3にランキングされた。これらの結果に基づき、分子YR-/-Irf2-/-マウス並びに分子XR-/-Irf2-/-マウスの作成を開始した。R3年度は、Irf2-/-マウスと比較して、DKOマウスの加齢依存性脱毛が改善するか、改善の程度はコントロールIrf2+/-マウスと比較してどの程度か等を、免疫学的並びに病理組織学的解析によって検討する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Irf2-/-マウスにおいて、マクロファージの皮膚への浸潤が脱毛に必要不可欠であることは本研究開始時に確認しており、同マクロファージに発現するリガンドとHFSCに発現する当該リガンドに対する受容体間相互作用をスコアー化して、上位にランクされた分子R-/-マウスを速やかに導入し、現在分子R-/-Irf2-/-マウスを含む産子を得ている。R3年度には当該マウスの解析が可能である。これと並行して、東京医科歯科大学皮膚科との共同研究により、保存されている患者お皮膚サンプルのうち脱毛症あるいはマクロファージの浸潤を伴うものを抽出中である。以上から、研究計画の進捗は順調であると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
分子YR-/-Irf2-/-マウスあるいは分子XR-/-Irf2-/-マウスにおいて脱毛の改善が観察された場合には、抜毛実験の系を用いて各々のリガンドあるいは受容体に対する中和抗体の投与を行い、分子標的としての妥当性を確認する。また、それら脱毛の原因となるリガンド及びその受容体の発現さらにはそれら分子を発現するマクロファージやHFSCの局在を、マクロファージの浸潤や脱毛症を伴う患者サンプルを用いて、in situ hybridization(RNAscope, ACD社)あるいは免疫染色により検証する。
|