2020 Fiscal Year Annual Research Report
南極氷床コア中の硫酸・硝酸同位体組成から復元する過去のエアロゾルの起源と生成過程
Publicly Offered Research
Project Area | Giant reservoirs of heat/water/material : Global environmental changes driven by the Southern Ocean and the Antarctic Ice Sheet |
Project/Area Number |
20H04969
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
服部 祥平 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (70700152)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 三酸素同位体組成 / 硫酸 / 硝酸 / 南極 / アイスコア / 氷期 / GEOS-Chem / 大気化学輸送モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、南極アイスコア中の硫酸及び硝酸の同位体組成に注目し、過去の地球における環境変動の復元を目的としている。当該年度は、南極アイスコアの前段階である大気エアロゾル中の硫酸エアロゾルに注目し、内陸・沿岸における硫酸の三酸素同位体組成(Δ17O値)を比較した。その結果、夏季に南極内陸部においてΔ17O値が特異的に高くなる傾向を発見した。この結果と本領域の前回の研究課題で開発した大気化学輸送モデルを組み合わせた解析から、この特異的な高いΔ17O値は、メタンスルホン酸(MSA)が硫酸に酸化されることで、非常に高いΔ17O値(約12‰)が硫酸に乗り移っていたことが示唆された。このような反応は雪中でも生じている可能性が高く、以上から、Δ17O値は大気から沈着しアイスコアとして長期間保存される間に変質していることが考えられた。以上の結果を学会で報告した他、国際誌に発表した。 上記と並行し、当該年度には南極内陸のアイスコアの分析を対象としており、その前処理を進めた。これらの分析は次年度中に完了できる見込みが立ったため、着実に研究を遂行できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
南極アイスコア中に保存される硫酸の三酸素同位体組成が沈着後に変化しうる可能性を発見したことは重要な発見であり、着実な成果を発表するに至った。一方で、アイスコア試料の処理は、新型コロナウィルス感染対策による出勤制限などにより当初の計画よりやや遅れて進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は2年計画であるため、次年度は前半に集中してアイスコア試料の分析を行い、後半に学会発表及び論文投稿を予定する。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] 三酸素同位体組成(Δ17O)から示唆された東南極における特徴的な大気硫酸生成反応2020
Author(s)
石野咲子, 服部祥平, Legrand Michel, Chen Qianjie, Alexander Becky, Shao Jingyuan, Huang Jiayue, Jaegle Lyatt, Jourdain Bruno, Preunkert Susanne, 山田明憲, 吉田尚弘, Savarino Joel
Organizer
第25回大気化学討論会
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[Presentation] 三酸素同位体組成(Δ17O)から示唆された東南極における特徴的な大気硫酸生成反応2020
Author(s)
石野咲子, 服部祥平, Legrand Michel, Chen Qianjie, Alexander Becky, Shao Jingyuan, Huang Jiayue, Jaegle Lyatt, Jourdain Bruno, Preunkert Susanne, 山田明憲, 吉田尚弘, Savarino Joel
Organizer
日本地球化学会第67年年会
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