2020 Fiscal Year Annual Research Report
南極大陸を取り巻く海産微小底生動物の分化過程と進化史の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Giant reservoirs of heat/water/material : Global environmental changes driven by the Southern Ocean and the Antarctic Ice Sheet |
Project/Area Number |
20H04974
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
辻本 惠 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 講師 (90634650)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 多様性 / 微小動物 / 南極海 |
Outline of Annual Research Achievements |
南極域における生物多様性の理解と保全は、南極域で観測を実施する各国の最重要課題の一つであると認識されている。一方で、南極大陸を取り囲む広域における底生微小動物の多様性、分化・進化に関する知見は限りなく不足している。本研究課題では、南極海の底生微小動物を対象とし、まずは南極大陸を取り巻く南極海の底生微小動物の種の分布と多様性を明らかにし、さらに形態・分子の多様性における生物地理学的傾向を明らかにすることで分化・進化機構を解明することを目的とした。当該年度は昭和基地沿岸、リュツォホルム湾、トッテン氷河沖、およびケープダンレー沖で採取された泥試料(ホルマリン標本と冷凍保存試料)を用いて洗い出し作業を行い、本課題の対象となる微小動物を抽出した。抽出した微小動物の顕微鏡観察を行い、主に線虫、動吻動物、クマムシの同定作業を進めて南極海における微小底生動物の種の分布と多様性を明らかにした。それら試料から、線虫についてはこれまでに6,000個体以上から約200種を同定し、昭和基地沿岸の砂の中から得られた2種については新種として報告をした。これまで得られたデータからは、いずれの地域でも線虫は種数が多く多様性は高いが、ごく一部を除くと1種当たりの個体数が少ないことが分かった。動吻動物については、少なくとも8種の動吻動物の分子・形態データを取得することができた。クマムシについては、同試料から得られる出現頻度や個体数は線虫や動吻動物と比べると少なかったなかで、トッテン氷河沖やケープダンレー沖で2属を採取することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ホルマリン標本および冷凍試料の海底泥から微小動物の抽出を行い、底生微小動物の種の同定作業を進めることができた。分析を進めたなかから今後の分化・進化史の解析対象となりうるキースピーシーズの候補も出せており、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、残りの微小動物標本の同定作業を進めて南極海における微小底生動物の多様性と分布についてのデータを取得する。次に、それらの標本の中から分化・進化解析を実施する対象とするキースピーシーズを選出する。そして、それらキースピーシーズの形態・分子データを取得して解析を進めて生物地理学的傾向を明らかにすることで分化・進化機構を解明する。
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Research Products
(2 results)