2020 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍微小環境をドライビングフォースとする腫瘍内遺伝型不均一性の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Integrated analysis and regulation of cellular diversity |
Project/Area Number |
20H05033
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
原田 浩 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (80362531)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | がん / 微小環境 / 低酸素 / DNA損傷修復 / 多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍組織を構成するがん細胞が遺伝子型的に均一な集団から、遺伝型の異なるがん細胞の集団となるメカニズムを解明し、腫瘍組織をモデルとして細胞ダイバーシティの発生・拡散・定着過程を時空間的に捉えることを目的に研究を展開する。特に腫瘍組織内の低酸素微小環境が原因となって遺伝子不安定性(genome instability)が高まるという知見に基づいて、「細胞ダイバーシティの本質」と「がんの複雑性」の理解に繋げる 。今年度は以下のような研究を実施した。 実験項目1)腫瘍内低酸素環境下で遺伝子型の異なるクローンを生じる責任遺伝子の同定と作用メカニズムの解明に関する研究 悪性固形腫瘍内部(がん内部)の低酸素領域を模した条件下で、劇的に発現量が低下する相同組換え修復関連遺伝子を独自に見出した。また、これらの遺伝子の中から、低酸素環境で「がんのゲノム不安定性の向上」を導く責任遺伝子を絞り込んだ。当該遺伝子の活性が酸素環境の影響を受けることを簡便に評価するin vitro実験系を確立するための研究資材を作成し、次年度に向けた準備を完了した。 実験項目2)移植腫瘍をモデルとした細胞ダイバーシティの時空間解析に向けた取り組み タモキシフェン依存的に低酸素がん細胞へluciferaseの発光標識を導入する系を確立した。また、低酸素環境下で相同組換え修復機構が活性化した細胞のみ、EGFPの緑色蛍光標識を発する実験系を確執・最適化した。これらの技術を組み合わせて、低酸素環境で相同組み換え修復機構が活性化した細胞を蛍光色で見分けるレポーターシステムを確立する準備を整え、次年度の実験の準備を完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた責任遺伝子候補の同定を完了し、次年度に同遺伝子の活性を評価する実験系の準備を完了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度に絞り込んだ候補遺伝子を対象に、当該遺伝子の発現が低酸素環境下で低下する機序と意義にアプローチする。また、令和2年度に樹立したレポーターシステムを活用して、低酸素刺激による腫瘍細胞の多様化を検証する。
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[Journal Article] Space Radiation Biology for “Living in Space”2020
Author(s)
Furukawa S, Nagamatsu A, Nenoi M, Fujimori A, Kakinuma S, Katsube T, Wang B, Tsuruoka C, Shirai T, Nakamura AJ, Sakaue-Sawano A, Miyawaki A, Harada H, Kobayashi M, Kobayashi J, Kunieda T, Funayama T, Suzuki M, Miyamoto T, Hidema J, Yoshida Y, Takahashi A
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Journal Title
BioMed Research International
Volume: 2020
Pages: 1~25
DOI
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