2020 Fiscal Year Annual Research Report
生体脳内ゲノム編集によるハイスループットな細胞種識別技術の開発と応用
Publicly Offered Research
Project Area | Brain information dynamics underlying multi-area interconnectivity and parallel processing |
Project/Area Number |
20H05055
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
三國 貴康 新潟大学, 脳研究所, 教授 (90786477)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / イメージング / 細胞種 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の脳は、様々な細胞種同士が互いに複雑なネットワークを形成している、極めてヘテロで難解なシステムである。従って、脳の動作原理を抽出するためには、脳の中の特定の細胞種を識別し、細胞種選択的に神経活動をモニターする必要がある。細胞種を識別するための遺伝子組換えマウスの系統の作製には、時間とコストがかかる。また、複数の細胞種を識別するには異なる系統のマウスの交配が必要であり、さらに、病態モデルマウスに適用するにはより多くの交配が必要になるので、現実的には簡単ではない。そこで本研究では、申請者が開発した生体脳内ゲノム編集技術SLENDR/vSLENDR法(Mikuni et al., Cell 2016; Nishiyama*, Mikuni* et al., Neuron 2017)を駆使して、動物個体の脳でハイスループットに様々な複数の細胞種を識別し、識別した細胞種の神経活動を同時にイメージングするための技術基盤を開発することを目的としている。2020年度は、マウスを用いて、ゲノム編集による迅速な分子発現レポーターシステムの構築を目指した。まず、CaMKIIα(興奮性神経細胞)やGAD65(抑制性神経細胞)などの分子マーカーの遺伝子座にリコンビナーゼ配列を挿入するようなゲノム編集を行うためのコンストラクトを作製した。そのうえで、リコンビナーゼ依存的に蛍光タンパク質やカルシウムインジケータを発現するコンストラクトを作製し、ゲノム編集コンストラクトと共にマウスに投与した。現在、この方法の効率および特異性について大脳皮質で抗分子マーカー抗体を用いた免疫組織化学により後方視的に検証しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度に予定していた技術開発は、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に引き続き、動物個体の脳でハイスループットに様々な複数の細胞種を識別し、識別した細胞種の神経活動を同時にイメージングするための技術基盤を開発する。開発した方法の効率と特異性を上げるためのブラッシュアップを行いつつ、2光子顕微鏡を用いて、マウス個体の脳の特定の細胞種で神経活動をモニターする。
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