2020 Fiscal Year Annual Research Report
神経応答-遺伝子発現変換を起点とした記憶痕跡形成過程の情報動態解析
Publicly Offered Research
Project Area | Brain information dynamics underlying multi-area interconnectivity and parallel processing |
Project/Area Number |
20H05068
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
奥野 浩行 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (80272417)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 記憶痕跡 / 神経活動依存的遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
学習時に前初期遺伝子発現を伴う活性化神経細胞は記憶痕跡(エングラム)として機能する。しかしながら、記憶獲得時の神経活動が前初期遺伝子現を誘起する機構は不明であり、さらには、前初期遺伝子発現が記憶痕跡の性質獲得に寄与する分子機構についてもほとんど理解が進んでいない。これらの知見を得るため、本研究では学習時や記憶想起時の神経応答パターンとそれに続く前初期遺伝子発現をマウスを用いて同一個体で連続的に解析する。この目的のため、本年度はまず緑色光励起および赤色蛍光の画像取得を可能とする頭部搭載型顕微鏡の作成を行った。作成された顕微鏡は感度面では緑色蛍光取得システムには及ばないものの前初期遺伝子発現レポーターを観察するためには十分な性能を有した。また、緑色蛍光の遺伝子発現レポーターと組み合わせて使用できるように赤色蛍光のカルシウムセンサー(XCaMP-R)を研究室に導入し、これを神経細胞特異的プロモーター(CaMK2プロモーターやSynapsinIプロモーター)下で発現するコンストラクトを作成し、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターにパッケージングした。同様に新たな前初期遺伝子発現レポーターを構築し、AAVベクターにパッケージング、精製を行った。さらに、前初期遺伝子発現に続く後期遺伝子発現の網羅的転写産物解析を行うにあたり、これまで未解析の時点データを得るため新たに可塑性誘発刺激後の様々なタイミングで海馬歯状回顆粒細胞を採取し、そこからRNA-Seqライブラリーを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画について順調に実験を進めており、組織学的解析法の構築も進んでいるため
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はマウスの海馬において神経活動(カルシウム応答)と遺伝子発現(前初期遺伝子発現レポーター応答)の同一個体記録を進める。また、新たな前初期遺伝子発現レポーターマウスの開発を進める。RNA-Seqについては昨年度作成したライブラリーをシークエンスを行い情報解析を進める。
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