2020 Fiscal Year Annual Research Report
Zスキーム系の実効応答波長拡大のための長波長応答水酸化光触媒の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of novel light energy conversion system through elucidation of the molecular mechanism of photosynthesis and its artificial design in terms of time and space |
Project/Area Number |
20H05085
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 英樹 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (60385515)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ペロブスカイト型酸窒化物 / 助触媒 / 共担持 / 水分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究グループで開発したランタンタンタル酸窒化物とチタン酸ストロンチウムとの固溶体光触媒(LSTTON)をペロブスカイト型酸窒化物のモデル光触媒として利用し,Zスキーム系における酸素生成光触媒としての応用を目指してコバルトビピリジン錯体を電子伝達剤とするZスキーム型水分解を検討した。水素生成光触媒には既知のロジウムドープチタン酸ストロンチウムを用いた。銀イオンを電子受容剤に用いる酸素生成反応ではLSTTONは助触媒がなくても活性を示すが,Zスキーム型水分解では助触媒未担持のLSTTONは不活性であった。助触媒修飾を検討したところ,白金助触媒により活性が発現することを見出し,ペロブスカイト型酸窒化物を酸素生成光触媒に用いたZスキーム型水分解に初めて成功した。さらに助触媒探索を継続し,酸化コバルトとイリジウムを共担持することでPt担持試料よりも活性が向上することを見出した。担持したイリジウムのコバルトビピリジン錯体の還元反応に対する助触媒の効果を電気化学測定により調べたところ,イリジウムが還元反応を促進することを示唆する結果が得られた。さらに光電気化学的酸化反応を調べることで,酸化コバルトが酸化反応を促進することが確認された。このように,還元反応と酸化反応に作用する2種類の助触媒を担持することで活性が向上していることが明らかになった。そして,ランタンチタン酸窒化物やバリウムタンタル酸窒化物などLSTTON以外のペロブスカイト型酸窒化物も酸化コバルトとイリジウムを共担持することでZスキーム型水分解に活性を示すことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コバルトビピリジン錯体を電子伝達剤に用いるZスキーム系で,目標としていたペロブスカイト型酸窒化物のZスキーム系における酸素生成光触媒としての応用に成功した。LSTTONに対する助触媒検討で見出した酸化コバルトとイリジウムの共担持がほかのペロブスカイト型酸窒化物にも有効であり,汎用性があることを確認した。このように,Zスキーム系の構成要素の一つである酸素生成光触媒を長波長応答化することに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
助触媒の担持方法および担持条件を最適化することでZスキーム型水分解の高活性化を実現する。また,酸化コバルトは酸性溶液中で溶解してしまうため電子伝達剤に鉄イオンを用いるZスキーム系には用いることができない。そこで,助触媒開発を継続して酸性溶液中でも使用でき,活性の高い助触媒開発を進める。また,酸素生成光触媒の更なる長波長応答化を狙い新しい酸窒化物開発を進める 水素生成光触媒に長波長応答可能な光触媒を利用するZスキーム系の構築によりZスキーム水分解の実効応答波長の長波長化の実現を目指す。 調製した試料を共同研究者である豊田工業大学・山方啓准教授に提供し,過渡吸収分光法を利用したキャリアダイナミクス計測により担持する助触媒の効果についての情報を得る。得られた知見を担持条件検討にフィードバックすることで更なる高活性化を行う。
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Research Products
(4 results)