2020 Fiscal Year Annual Research Report
Redox potential of the oxygen-evolving complex
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of novel light energy conversion system through elucidation of the molecular mechanism of photosynthesis and its artificial design in terms of time and space |
Project/Area Number |
20H05090
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石北 央 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00508111)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 人工光合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物などが行う天然光合成における水分解酸素発生反応は蛋白質photosystem II (PSII)で行われる。本研究では、最近の結晶構造で明らかにされたMn4CaO5近傍の水分子挙動および水分解に関わる電子移動経路のコファクターのエナジェティクスをも分子化学的に解明した。Mn4CaO5の配位水W1-W4のpKaをタンパク質環境の存在下、非存在下で同定した。その結果、「W2が解離してOH-」との前提で進めている研究の多くは、実は「タンパク質環境非存在下」の計算で得られた結果を基に行っているものであり、タンパク質環境ではプロトンアクセプターの存在するW1の方が解離しやすいことが明らかとなった。この結果は、今までのあいまいにされてきたまま進められてきた(根拠の弱い)前提をくつがえすものであり、重要なマイルストーンとなると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で多くの制限があったにもかかわらず、精力的に研究を進めた。その結果、2020年に10報の論文発表を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今までの研究はX-ray diffraction (XRD)構造を主に用いて研究を行ってきた。その間、多くのX-ray free electron laser (XFERL)による反応中間体構造や、cryo-EM構造(アンテナタンパク質との複合体構造)も発表されている。本研究で開発した手法を今後これらのタンパク質分子構造に適応することにより、水分解反応のより多角的な解析と、(そのエネルギーを供給する)アンテナタンパク質からのエネルギー移動の過程もあわせて解析することにより、系の統合的な理解を進める。
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Research Products
(10 results)