2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of photosynthetic methane production by hydrogen production in green sulfur bacteria
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of novel light energy conversion system through elucidation of the molecular mechanism of photosynthesis and its artificial design in terms of time and space |
Project/Area Number |
20H05119
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
浅井 智広 立命館大学, 生命科学部, 講師 (70706564)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 緑色硫黄細菌 / 水素 / メタン / 共培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究では、緑色硫黄細菌Chlorobaculum tepidumと共培養するメタン菌はMethanothermobacter thermoautotrophicusを使用していた。しかし、M. thermoautotrophicusは生育温度や栄養要求性が限定されており、共培養だけでなく、その単独培養自体が困難であることがわかった。そこでC. tepidumとの共培養に適した菌種を探索し、中温性のモデル種として知られるMethanococcus maripaludisを改めて選定した。M. maripaludisは水素を電子源とした独立栄養培養が可能である一方、ギ酸塩で水素を代替でき、高密度の単独培養を比較的容易に得られることがわかった。M. maripaludisとC. tepidumで共培養系の構築を進めた。両者の無機的な培地を調製し、その気相を連結した密閉系で培養を行った結果、C. tepidumが光合成によって水素を発生させる条件でのみ、M. maripaludisの増殖と気相へのメタンの蓄積が認められた。両者の培養スケールの比較から、M. maripaludisの増殖量に対するメタン発生量が非常に多く、C .tepidumが発生させる水を全てメタンにするのにM. maripaludisの培養量は相対的に少なくて良いことがわかった。これはメタン菌のメタン生成が異化プロセスであり、メタン菌のバイオマスに対するメタン生成の制約が低いことを反映していると考えられた。これは本研究で構築を進めている光合成メタン生成系が天然には存在し得ない系であり、二酸化炭素還元が同化プロセスである光合成生物や化学無機栄養細菌の炭素固定反応では実現できないシステムであることを示唆している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はC. tepidumとメタン菌の共培養系の構築と並行し、C. tepidumの光合成水素発生系の見直しと分子生物学的な改変を進める予定であった。しかし依然としてコロナ禍の影響で実験の遂行には多くの支障があり、共培養実験について、定期的な培養の仕込みと観察、その培養の維持を行うのが精一杯であった。本年度の研究成果として、C. tepidumとM. maripaludisの気相共有系での共培養に成功したが、一方でC. tepidumの光合成水素発生系の水素生成量が相対的に少ないために、両者の培養スケールに大きなアンバランスが生じており、余儀なく停滞しているC. tepidumの光合成水素発生の分子生物学的な最適化を推し進める必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究で、気相を共有した培地でM. maripaludisとC. tepidumの各々を単独培養する、「気相共有系」での共培養で光合成によるメタン生成に成功した。これを受け、真の共培養とも言える、同一の培地で両者を培養する「混合系」での共培養を行う。これには両菌種が生育可能な新規な培地の作成が必要であり、その組成や培養方法を詳細に検討する。また、作成した培地において共培養を行い、混合系において両菌株がバランス良く増殖できる条件を探索する。これと関連し、C. tepidumの光合成水素発生系を最適化することで、混合系での共培養のコストパフォーマンスの最大化を目指す。
|
Research Products
(8 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
[Book] 光合成細菌2020
Author(s)
嶋田 敬三、高市 真一
Total Pages
320
Publisher
裳華房
ISBN
978-4-7853-5870-9