2020 Fiscal Year Annual Research Report
リモートオセアニアへの拡散を可能にした栄養適応システムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative Human Historical Science of "Out of Eurasia": Exploring the Mechanisms of the Development of Civilization |
Project/Area Number |
20H05127
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梅崎 昌裕 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (30292725)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腸内細菌 / トンガ / 栄養適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
リモートオセアニアは、人類の生存にとっては「厳しい」地域である。陸域が小さいために、生態系のなかにみられる植物と動物の多様性は乏しく、またその数も多くない。ホモサピエンスがこのような厳しい環境に移動することを可能にしたひとつの背景として、腸内細菌に注目した研究をおこなう。移住先の島嶼環境では不足しがちなエネルギー・栄養素を合成するような腸内細菌、また食物の含む有害な物質を無毒化するような腸内細菌を大腸に棲まわせることは、新たな環境における人類の生存戦略の重要なコンポーネントだったのではないか。この仮説の検証するための現地調査および細菌叢解析をおこなう。 2020年度に予定していたトンガ国における現地調査は,現地カウンターパートとの交渉はすすめたものの,感染症の流行による入国制限の影響をうけて延期となった.その代替として,リモートオセアニアに拡散した人類が通過した地点にあるパプアニューギニアの人々から提供された糞便サンプルの再解析,リモートオセアニアに拡散した人類の出身地である東アジアの集団がもっていた腸内細菌叢を推測するための解析などを実施したほか,リモートオセアニアに居住する人類の栄養負荷を評価するバイオマーカーを測定するための環境整備,プロトコールの確立をおこなった.そのほか,計画班B01による栄養研究会への参加,総括班の主催による全体会議での発表.討論を通じて,出ユーラシアにかかわる栄養適応の意味についての情報収集・議論をおこなった.2021年もリモートオセアニアにおける現地調査が実施できない状況を見越して,国内の島嶼部における代替調査の準備をすすめた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現地調査が実施できなかったために,本申請課題の最大の目標である,リモートオセアニアに居住する人類集団の腸内細菌叢解析にむけた進捗にはやや遅れがみられる.
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Strategy for Future Research Activity |
トンガ国における現地調査に向けて,カウンターパートとの交渉をすすめるほか,フレンチポリネシアなどで実施された腸内細菌研究プロジェクトとの連携を模索し,またパプアニューギニアで収集した糞便サンプルを新しい側面から再解析するなどして,当初の目標の達成にむけた研究を実施する.2021年もリモートオセアニアにおける現地調査が実施できない状況を見越して,国内の島嶼部における代替調査の準備をすすめる.
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