2020 Fiscal Year Annual Research Report
Identifying the Relationships between Warfare and Social Stratification through the Study of Daily Practices of Ancient Maya Royal Families
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative Human Historical Science of "Out of Eurasia": Exploring the Mechanisms of the Development of Civilization |
Project/Area Number |
20H05141
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Research Institution | Kyoto University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
塚本 憲一郎 京都外国語大学, 京都外国語大学ラテンアメリカ研究所, 客員研究員 (20755368)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 戦争 / 階層化 / 古代マヤ社会 / 日常生活 / 高精度年代測定 / 石器分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
エル・パルマール遺跡では、建造物の発掘・修復作業のための予備調査と、遺跡の中心部にある石彫を記録した。宮殿にある建造物S21-1は、盗掘跡もなく良好な状態であったことを確認した。石彫は7体の石碑と1体の祭壇に刻まれた図像を実測した。また、炭化物サンプル29点の放射性炭素年代測定を山形大学高感度加速器質量分析センターで実施した。サンプルの一つは、それまで堆積層などからサンプルを採取していた方法とは異なり建物の漆喰内から直接採取した。この木材は石灰岩の焼成過程に使われたものであるために、放射性炭素年代測定の成果が建物の建築年代を直接示す画期的な手法である。その成果から、エル・パルマールの中心部では先古典期後期にあたる後61年までには、漆喰に覆われた壮麗な建物が建てられた事実を明らかにした。その他のサンプルは、階層化が進んだ北周縁部の建物と埋葬墓から採集したもので、戦争の激化と階層化の関係を考察するうえで、基礎データとなった。その結果、周辺地域の戦争が激化する8世紀になると、周縁部に居住していたラカムの称号を持つ人々の集団内にも社会的差異が拡大し、それが副葬品の差異として物質化されたようである。墓には、下肢のない人物が埋められており、今後の骨分析によって、それが先天的なものなのか戦争などの暴力的な行為の結果なのかを検証する。 同時に古代マヤ社会の日常生活に不可欠な石器の生産過程を実験考古学によって復元した。その結果、製品として最も出土する両面調整石器と尖頭器の生産過程において副産物として産出する剥離片には、明確な違いが観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた上で、データ解析を実施できるように山形大学高感度加速器質量分析センターと調整を続けてきたが、新型コロナウィルス感染症の影響を受けたセンター全体の分析作業が遅れており、年度内に年代測定の実施できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は、中心部の発掘してマヤ王族の日常生活を詳細に復元し、戦争と階層化の関係性について考察する。その際に、地中レーダー探索を取り入れて、王宮やアクセスが極端に制限された広場や中庭が、一時代で築かれたのか、前時代から継続的に建て替えを行っていたのかを検証する。
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