2021 Fiscal Year Annual Research Report
Observation and Control of Time Reversal Symmetry Breaking in Multicomponent Superconductivity
Publicly Offered Research
Project Area | Physical Properties of Quantum Liquid Crystals |
Project/Area Number |
20H05162
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
細井 優 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (00824111)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 一軸歪み / バレートロニクス / バレー自由度 / 弾性抵抗 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では一軸歪み制御下での走査型磁気顕微鏡開発を行い,複合自由度に由来した超伝導状態における時間反転対称性の破れの観測と制御を目指していた.研究期間内に,これらの歪みと磁気顕微鏡を組み合わせたハイブリッドシステムの運用にまでは至らなかったものの,開発の過程での一軸歪み装置を利用した新規物性開拓に進展があった.具体的には半金属ビスマスに着目した.ビスマスは3つの等価な電子バレーを有しており,これらのバレー自由度を用いたバレートロニクス材料として注目される物質の一つである.これまでの研究では磁場を印加することで,バレー自由度を制御する先行研究は報告があるが,バレーの歪み応答は明らかになっていない.そこでビスマスの歪み応答を明らかにする第一歩として,歪みによる電気輸送特性の変化を調べた.歪み下の電気抵抗変化は弾性抵抗と呼ばれ,ビスマスの弾性抵抗は非単調な温度依存性や,磁場に鋭敏な応答を示すことがわかった.これらの特異な磁場や温度に対する振る舞いは,歪みによって導入されるビスマスのバレー構造の変化に伴うキャリア数変化に着目することで,定性的によく説明できることを明らかにした.この事実は,弾性抵抗はある種の歪みによるバンド構造変化を表す指標として有効であることを示唆しており,今後さらなる継続研究を進めれば,弾性抵抗をある種のバンド感受率として評価することにつながることも期待される.これらの成果は,歪みによるバレー制御を通じたバレートロニクスの実現可能性を示す有力な指標を与えることが期待させるものであると同時に,歪み下での輸送特性を記述する理論的枠組みの構築にも重要な手がかりを与えるものである.
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(7 results)