2020 Fiscal Year Annual Research Report
Frequent observations of storms using CYGNSS micro satellites
Publicly Offered Research
Project Area | Mid-latitude ocean-atmosphere interaction hotspots under the changing climate |
Project/Area Number |
20H05168
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
市川 香 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (40263959)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | CYGNSS小型衛星 / 台風 / 風速の軸非対称性 / 有義波高分布 / DDMデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
台風や爆弾低気圧などのストームの風速分布を知ることは,ストームの移動や発達・衰退を研究するうえで重要である。しかし,強風域の風速分布を現場観測することは現実的に不可能であり,人工衛星でも数種類のプロダクトしか実現できていない。本研究では,そのうちの一つであるNASAの小型衛星群CYGNSSのデータを利用して,ストームの風速分布を得る。 CYGNSS衛星では,観測値を衛星上でオンボード処理して特徴量のみを抽出し,サイズを軽減して地上にダウンリンクしている。本研究では,当初,米国のミシガン大学のオペレーションセンターにおいて,衛星でオンボード処理をする前の未処理のDDMデータを特別にダウンリンクして,それを解析する予定であったが,新型コロナウイルスによる渡航制限のため米国出張ができなくなったた。そこで,強風域が観測できるもう一つの衛星プロダクトであるJAXAのAMSR2全天候風速との比較を行い,CYGNSS衛星の計測特性を見積もることにした。 2018年の台風21号と24号を対象とし,台風座標系で海上風速分布を比較したところ,AMSR2の風速が全般的に大きく,数値モデル(ERA5, CFSRv2)と比べても大きかった。AMSR2は特定の瞬間の風速分布を計測するが,CYGNSSは線状の観測ラインで近傍海域を12分おきに数回にわたって計測するため,瞬間風速よりも時間平均風速が小さくなったのが要因の一つだと考えられる。 さらに,風速の相対的な空間分布についても調査したところ,移動速度が速かった21号台風のCYGNSS風速は,危険半円(進行方向の右側)ではなく進行方向後方の風速が大きく,数値モデルやAMSR2とは異なっていることが分かった。CYGNSSの計測には,波長の長いうねり成分も効いてくると考えられるため,台風回りの複雑な有義波高分布の影響を受けていることが想定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスによる渡航制限のため,当初予定ではミシガン大学の衛星コントロールセンターにて実施する予定だった研究項目が実施できなかった。このため,別の衛星プロダクトであるAMSR2全天候風速との比較を中心に研究を遂行するように変更し,一定の成果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
CYGNSS衛星の風速観測が有義波高の影響を受けていることが示唆されたため,有義波高の影響を考慮すると台風回りの軸非対称性がどう変化するかを解析する。 また,当初計画で実行できなかった,CYGNSS衛星がオンボード処理する前のDDMデータを地上へダウンリンクして,観測時の有義波高の影響を解析する予定である。
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Research Products
(1 results)