2020 Fiscal Year Annual Research Report
Influence of the troposphere-stratosphere dynamical coupling on the tropospheric jet variability and roles of midlatitude oceanic frontal zones
Publicly Offered Research
Project Area | Mid-latitude ocean-atmosphere interaction hotspots under the changing climate |
Project/Area Number |
20H05171
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
直江 寛明 気象庁気象研究所, 気候・環境研究部, 室長 (70354511)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 対流圏成層圏結合 / eddy-driven ジェット / 成層圏突然昇温 / 中緯度海洋前線帯 / 中緯度ジェット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、対流圏成層圏結合が対流圏ジェット変動に及ぼす影響と中緯度海洋前線帯の役割について解明を目的とする。 対流圏の中緯度ジェット (別名 eddy-driven ジェット) は、移動性総観規模擾乱の水平分散と砕波に伴う角運動量輸送によって維持される。eddy-driven ジェットは、成層圏と海洋前線帯の橋渡しと解釈できるため、本年度は成層圏突然昇温 (SSW) に伴った大気循環場の変動と対流圏ジェットの役割を解析した。事例として、2019年9月に南半球で発生したSSWをとりあげ、2019年SSWの特徴について、南半球で数少ないSSWの事例: 2002年9月と1988年9月と比較し、対流圏ジェットの役割に注目して解析した。 2019年SSWは対流圏でダブルジェット型で、50-70Sに eddy-driven ジェットが存在し、ジェットの圏界層200-300 hPa から惑星波を駆動するEPフラックスの発散が特徴的である。EPフラックス発散を波数分解すると波数1が卓越しており、50-70S, 200-300hPa の領域は、成層圏で収束しSSWを引き起こす惑星波の波源と解釈できる。2002年SSWは30-45Sにシングルジェット型で、高緯度側にブロッキングが発達し、このブロッキングの高緯度側から成層圏へ伝播する惑星波が発生していた。波数分解すると50-70S付近の圏界層に極渦を崩壊して大昇温となる波数2の惑星波の波動源が存在していた。1988年SSWは、50-70S、300 hPa に波数1の波動源が特徴的である。 故に、50-70S、200-300 hPa でみられた EP フラックス発散は、南半球SSWを引き起こす波駆動源のカギをみることができ、eddy-driven ジェットは、惑星規模波動を駆動するのに直接的・間接的に重要な役割を果たしていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で目標としていた、対流圏成層圏結合が対流圏ジェット変動に及ぼす影響について、事例解析からメカニズム解明の端緒を開くことができた。 成層圏突然昇温に伴う多くの解析では、成層圏で惑星規模波動が卓越する一方、対流圏では総観規模擾乱が卓越し、なぜ200-300hPa の圏界層で伝播特性が変化するのか、対流圏ジェットの役割は何かについて未解明であった。EP flux の発散それ自身は、渦運動量フラックスと渦熱フラックスの両方の効果により平均流を加速させる。水平発散は運動量の収束を意味し、総観規模ロスビー波の水平伝播とその分散と砕波に伴う角運動量輸送によって eddy driven ジェット が維持される。 対流圏中緯度ジェットは南半球のSSWに直接的・間接的に影響している。2019年の事例については、SSWが発生する直前のeddy driven ジェットは鉛直上向き伝播する惑星規模ロスビー波の波動源と解釈することができ、鉛直伝播してきた惑星波は成層圏で収束し、極渦を減速させてSSWを発生させていたことがわかった。 よって、本研究は計画どおりに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
対流圏成層圏の力学結合が強い場合と弱い場合について、予測精度がどのように変化するのかを調べる。解析するデータは、気象庁現業1か月予報 (34日) と1か月ハインドキャストのアンサンブルデータ、および気象庁長期再解析を用い、対流圏ジェットが極側・赤道側に変位する場合、北半球や南半球中高緯度の予測精度がどのように変化するのか、またその季節変化を調べる。ジェットが変動すると、中緯度海洋前線帯から大気に与える影響が変化する可能性があるので、海洋前線帯が大気の予測精度に与える影響を解明する。 また、従来型観測データのみを使用した気象庁長期再解析 (JRA-55C) 、全球日別海面水温を使った長期再解析データ (JRA-55CHS) を初期値とした延長予測実験を行う。予報成績が急激に変化した前後の循環場を解析することで、高分解能海面水温が大気循環場に与える影響を解明する。
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[Journal Article] An evaluation of tropical waves and wave forcing of the QBO in the QBOi models2020
Author(s)
Holt, LA, F Lott, RR Garcia, GN Kiladis, Y‐M Cheng, JA Anstey, P Braesicke, AC Bushell, N Butchart, C Cagnazzo, C-C Chen, H-Y Chun, Y Kawatani, T Kerzenmacher, Y-H Kim, C McLandress, H Naoe, SM Osprey, JH Richter, AA Scaife, J Scinocca, F Serva, S Versick, S Watanabe, K Yoshida, S Yukimoto
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Journal Title
Q. J. R. Meteorol. Soc.
Volume: -
Pages: 1-27
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Prediction of the quasi-biennial oscillation with a multi-model ensemble of QBO-resolving models2020
Author(s)
Stockdale,T.N., Y.-H. Kim, J.A. Anstey, F. Palmeiro, N. Butchart, A.A. Scaife, M. Andrews, A.C. Bushell, M. Dobrynin, J. Garcia-Serrano, K. Hamilton11, Y. Kawatani, F. Lott, C. McLandress, H. Naoe, S. Osprey, H. Pohlmann, J. Scinocca, S. Watanabe, K. Yoshida and S. Yukimoto
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Journal Title
Q. J. R. Meteorol. Soc.
Volume: -
Pages: 1-22
DOI
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[Journal Article] Seasonal to decadal predictions with MIROC6: Description and basic evaluation2020
Author(s)
Kataoka, T., H. Tatebe, H. Koyama, T. Mochizuki, K. Ogochi, H. Naoe, Y. Imada, H. Shiogama, M. Kimoto, M. Watanabe
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Journal Title
J. Advances in Modeling Earth Systems
Volume: 12
Pages: 1-25
DOI
Open Access
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